4週に1回の化学療法が、8週以上の間隔。問題ないか

回答者:宮城 悦子
横浜市立大学付属病院 化学療法センター長
発行:2008年10月
更新:2013年12月

  

44歳の未婚女性です。主な経緯からご説明します。

(1)2007年9月…大学病院の婦人科で、子宮がんが発見される。

(2)10月中旬…広汎子宮全摘術の手術を受ける。2a期の子宮頸がんという診断のため、卵巣と卵管は温存。

(3)10月下旬…病理検査の結果、子宮頸がんではなく、子宮体がんであることが判明。3c期の子宮体がん(腺扁平上皮がん)で、骨盤のリンパ節に転移していたため、それを郭清。子宮筋腫と思っていた部分が実はがんで、頸部転移と言われる。「卵巣と卵管には異常がなかったため、これらは温存しているが、3カ月後をめどに再手術を行い、摘出する。それまでは、4週に1回、入院で化学療法を行う」旨の説明を受ける。

(4)10月末、12月中旬、2008年2月下旬…タキソール(一般名パクリタキセル)+パラプラチン(一般名カルボプラチン)による化学療法をそれぞれ受ける。

(5)3月中旬…卵巣卵管摘出術を受ける。

(6)3月下旬…病理検査の結果、卵巣と卵管からがん組織が検出され、転移していたことが判明。「3回投与した化学療法に効果がなかったと考えられるため、薬を変更し、4週に1回の投与を3回行う」旨の説明を受ける。

(7)3月下旬、5月下旬…タキソテール(一般名ドセタキセル)+パラプラチンによる化学療法を2回受ける。

伺いたいことは、以下の2点です。まず1点は、化学療法が予定どおりに進まずにいることです。4週に1回、受けることになっていますが、患者の数が多すぎるとのことで、実際には、8週以上の間隔があいています。効果が薄まるのではないかと不安でたまりません。化学療法が遅れることで、抗がん効果はどの程度、低下しますか。2点目です。計画的な治療を受けたいのであれば、関連病院を紹介すると言われました。大学病院から関連病院へ移ってでも、計画的に化学療法を受けたほうがよいのか、最先端医療を受けるために、このまま大学病院の治療を受けたほうがよいのか、アドバイスをお願いします。

(東京都 女性 44歳)

A 進行子宮体がんの化学療法は定期的、計画的に行われるべき

進行子宮体がんの症例ですから、綿密な治療計画を立てて、治療とフォローアップをしっかり行う必要があると考えます。

ところが、3~4週ごとに行うべき化学療法(質問の文面には「4週に1回、受けることになっています」とあります)が8週以上あいていると書かれています。ここまで間隔が開くことは、通常では考えにくいことです。予定の回数を定期的に受けられる環境を作っていただくように、主治医にお願いしたほうがよいと思います。

化学療法が遅れることで、抗がん効果はどの程度、低下するかとのお尋ねです。これに関しては、はっきりした数字は申し上げられませんが、腫瘍が今も残存し、なおかつ行っている化学療法が有効である場合、休薬期間に腫瘍が増大してくる可能性はあると思います。

何週ならあいてもよいという確かなデータもありませんが、測定可能な腫瘍のある患者さんに、3~4週ごとに化学療法を行った場合は、腫瘍の縮小効果が確認されています。ですからやはり、3~4週ごとに化学療法を行うことが一般的には望ましいといえます。

今の病院で、きちんとした、計画的な化学療法が受けられないようであれば、主治医のおっしゃる関連病院も含めて、病院を変わるという選択肢もあると思います。その点も含めて、主治医と今1度、よくご相談ください。

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