子宮筋腫の手術後にがん肉腫との診断。どんな治療法があるか

回答者:関口 勲
栃木県立がんセンター 婦人科・第一病棟部長
発行:2010年1月
更新:2013年12月

  

子宮筋腫で手術を受けました。手術後の病理検査の結果、がん肉腫と診断されました。初めて聞く病名でした。同じような病名で、子宮肉腫という病名を聞いたことがあります。がん肉腫と子宮肉腫はどのような違いがあるのでしょうか。また、がん肉腫にはどんな治療法があるのでしょうか。

(愛媛県 女性 56歳)

A 手術で完全切除。リンパ節を取り除く再手術を行うことも

体の表面を覆う扁平上皮とか腺上皮から発生するのががんで、上皮の下にある筋肉などから発生する悪性腫瘍が肉腫です。一般的にはがんと肉腫は一緒にはできませんが、がん肉腫というのはがんと肉腫が混在する悪性腫瘍で、稀な病気です。がん肉腫は、子宮や、胃、肺など、身体のどこにできてもおかしくないですが、他の場所に比べて、子宮にできることが多いようです。がん肉腫は、一般的には60~70歳以上の高齢者にできる病気で、いろんなところに広がる悪性度の高い腫瘍です。

子宮の場合は、子宮の表面を覆っている腺上皮から発生する腺がんと筋肉から発生する肉腫とが混在する子宮がん肉腫が一般的です。

相談者のように、子宮筋腫の手術後に、病理検査で見つかることもありますが、手術前に診断されることもあります。外科的に完全切除できないと、治癒する可能性は大変低いと考えられています。子宮肉腫ならリンパ節転移はほとんどないため、再手術はしません。

ところが、子宮がん肉腫は、リンパ節転移もありますから、リンパ節を取り除く再手術を行うこともあります。再手術をするかしないかは、ケースバイケースです。

手術以外の治療としては、抗がん剤治療が一般的です。放射線治療はしません。抗がん剤治療の有効性はあまり高くはありません。

標準的な化学療法はまだ確立されていませんが、「イホマイド」(一般名イホスファミド)と「シスプラチン」(一般名)などを使用することが多いようです。効きにくいため、抗がん剤の量が多くなり、副作用も強くなりがちです。

臨床的に完全切除されたと考えられる方に、再発予防として補助化学療法をするべきかどうかは判断が大変難しいと思われます。

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