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免疫抑制細胞の増加を防ぐ「シイタケ菌糸体」
がんの治療効果を高めるサプリメントの可能性

サプリメントなどの自然療法の
研究にも取り組んでいる
谷川啓司さん
第15回日本補完代替医療学会学術集会で、ビオセラクリニック院長の谷川啓司さんは「がん治療の限界と自然療法の可能性」をテーマに講演。臨床研究の結果から、サプリメント成分のシイタケ菌糸体に、免疫抑制細胞の増加を防ぐ作用が示されたと報告しました。
がん治療におけるサプリメントの意義
がん細胞は、体の中でどんどん増えるという性格を持っています。一方、私たちの体にはがんを排除する「免疫」というシステムが備わっていますが、「免疫による排除速度よりもがんの増殖速度のほうが早いため、結果的にがんは増殖し続けてしまいます」と、ビオセラクリニック院長の谷川啓司さんは講演の冒頭で説明します。
現在、がんの標準治療と呼ばれるものには手術、抗がん薬治療、放射線治療がありますが、免疫を高める方法は標準治療にはなく、免疫によりがんを排除することが考えられていません。この点が、「標準治療の限界」であると谷川さんは強調します。
免疫を上げる方法の1つにサプリメント(健康補助食品)などを使った自然療法があります。ビオセラクリニックでは東京女子医大の関連施設として免疫細胞療法を長く行っている医療機関ですが、免疫細胞療法以外にも様々な免疫を上げる可能性を求めて患者さんに情報提供してきました。
がん治療におけるサプリメント利用のメリット - ①免疫を上げて標準治療の効果をサポートする
- ②がんや標準治療による体調不良を改善する
その1つとしてサプリメントを他の免疫療法と組み合わせてがん患者さんの免疫力を高めるサポートを行っているそうです。谷川さんはがん治療におけるサプリメントの利用意義として、「①免疫を上げて標準治療の効果をサポートする。②がんや標準治療による体調不良を改善する。以上の2点が利用する際のメリット」との考えを示しています(図1)。
また、サプリメントの利用意義として、研究の進展を説明しています。これまでサプリメント成分はがん患者の免疫を高めるという結果だけがあり、そのメカニズムがよく分かっていませんでした。
しかし、近年、一部の成分で研究が進み、免疫に働くメカニズムも徐々に解明されてきました。
免疫抑制細胞の増加を防ぐ「シイタケ菌糸体」

[図3 シイタケ菌糸体摂取者の免疫抑制細胞量]
最新の研究では、がん患者さんの体の中で「免疫抑制細胞(制御性T細胞など)」が増えていることがわかってきました。この免疫抑制細胞が多くなると、がんを直接攻撃する免疫細胞を無力化してしまい、免疫力を高めても免疫細胞はがん細胞まで働きにくくなります。「新しいがん免疫の考え方として、免疫細胞が、がんを攻撃できるようにするために、免疫抑制細胞の増加を抑えることが求められています」(谷川さん)。
そんな免疫抑制細胞の増加を抑える成分として「シイタケ菌糸体」と呼ばれるキノコ類の成分に注目が集まっているそうです。この「シイタケ菌糸体」の有用性に着目した谷川さんは現在、製薬企業と共同で臨床研究を進めています。
臨床研究として、シイタケ菌糸体に①免疫抑制細胞の増加を抑制②がん患者さんのQOL(生活の質)を改善する──などの効果が認められました(図2・3)。
具体的には研究への同意が得られた10例のがん患者さんに対して、最初の4週間は免疫療法のみ、残りの4週間は免疫療法+シイタケ菌糸体の併用療法で臨床研究が行われました。
免疫的効果ではシイタケ菌糸体を摂取した10名中7名の患者さんにおいて、患者さんの免疫力を高め、がんの進行に伴う免疫抑制細胞の増加を防ぐことができました。QOL調査に関しても、シイタケ菌糸体を摂取する前よりも摂取した後のほうがQOLの改善傾向が認められました。
科学的検証が進んでいる成分を選ぶ
この免疫抑制細胞については海外でも関心が高まってきており、免疫抑制細胞をターゲットにした医薬品の開発も進んでいるそうです。
今回、キノコ由来のサプリメント成分「シイタケ菌糸体」においても免疫抑制細胞の増加を抑えるという効果が科学的に検証されました。
しかし、サプリメントなどの自然療法の成分の中には医薬品と違って科学的検証が十分でないものも多いといいます。そのため、谷川さんはサプリメントの選び方について「安全性・科学的検証が進んでいる成分を選ぶことがポイントです」との見方を示しています。
詳しい研究内容はこちらへ
ビオセラクリニック 東京女子医科大学病院関連施設 TEL: 03-5919-1762
小林製薬のがん免疫研究
シイタケ菌糸体研究会
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