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免疫抑制状態から回復させるシイタケ菌糸体
がん治療をサポートするシイタケ、カワラタケの実力を検証!

監修:柴田昌彦 福島県立医科大学腫瘍生体治療学講座教授
取材・文:文山満喜
(2012年4月)

柴田昌彦さん
10年近く前からシイタケ菌糸体の
研究を進めている
柴田昌彦さん

日本では、キノコのなかでもシイタケやカワラタケに、がんに対する有用性が認められ、医薬品と栄養成分の両面で研究が進められてきた。
最近ではシイタケ由来成分の1つである「シイタケ菌糸体」に、がん患者さんの免疫バランスを整える効果があることが報告されたほか、抗がん剤の副作用を軽減する効果も期待され、注目が集まっている。

医薬品としても活用されるキノコの成分

[図1 PSKとレンチナンの表]
薬剤名 PSK レンチナン
適応 がん(手術例)患者さん及び結腸・直腸がん(治癒切除例)で化学療法との併用による生存期間の延長 手術不能又は再発胃がん患者さんでテガフール経口投与との併用における生存期間の延長
小細胞肺がんに対する化学療法との併用による奏効期間の延長
成分 カワラタケの菌糸体から抽出された成分 シイタケの子実体から抽出精製された成分
投与方法 経口 注射
メカニズム 身体の免疫状態を改善する 身体の免疫状態を改善する
*PSK=商品名クレスチン

一般的に免疫活性成分が豊富であることが知られるキノコだが、実際にシイタケ成分のレンチナン()、カワラタケ成分のクレスチン()などは病院で処方される抗がん剤として承認されるなど、がんに対する有用成分としての研究が進んでいる。(図1)

福島県立医科大学教授の柴田昌彦さんは、これらキノコ成分の医薬品の特徴についてこう説明する。

「一般的な抗がん剤は、直接がん細胞を攻撃します。一方、キノコの成分の抗がん剤は、患者さんが本来持っている免疫に作用したり、栄養状態を改善するものです。通常の抗がん剤に比べると、作用は強くないですが、自分の免疫細胞を活性化させてがん細胞を攻撃したり、抗がん剤の副作用を和らげるなど、がん治療の効果を高めるメリットがあるものだと考えています」

近年、シイタケ由来成分の1つであるシイタケ菌糸体()に、がん患者さんの免疫力改善効 果があることが複数の研究結果からわかってきた。

レンチナン=一般名も同様
クレスチン=一般名PSK
シイタケ菌糸体=シイタケの根にあたる部分を培養して有用成分を抽出したもの

近年、研究が進むシイタケ菌糸体

柴田さんは、10年近く前からシイタケ菌糸体がもつ効果に注目し、臨床研究を続けてきた。

「シイタケ菌糸体は、複数の医療機関や製薬会社の努力で研究が積み重ねられ、よく知られたβ-グルカン以外にも、α-グルカンやアラビノキシランなどの多様な免疫調整物質も含まれていることがわかっ てきました」

このシイタケ菌糸体の効果について、柴田さんはこう説明する。

「シイタケ菌糸体には他の栄養成分では知られていない作用として、免疫抑制からの回復作用があることが注目され ています」

免疫抑制状態から回復させる

最近の研究では、がん患者さんの体の中で、がんに対する免疫の攻撃を無力にする、免疫抑制細胞(制御性T細胞など)が増殖していることが明らかになっている。そうなると、免疫が働きにくい"免疫抑制状態"になることがわかってきた。

「人間の免疫機構はバランスですから、免疫抑制細胞の増殖を低下させることができれば、がんを攻撃する免疫細胞は活性化します」

柴田さんが解析に参加した臨床研究で、がんの再発予防を期待する国内のがん患者さん13名にシイタケ菌糸体を20週間摂取してもらい、摂取前後の免疫状態を測定したところ、免疫の攻撃を無力にする"免疫抑制状態"を改善することが確認された。(図2)

[図2 シイタケ菌糸体が免疫抑制状態を改善]
図2 シイタケ菌糸体が免疫抑制状態を改善
がん患者さんのシイタケ菌糸体摂取前後の免疫状態を測定したところ、がんを攻撃する免疫細胞と、免疫抑制細胞のバランスがよくなり、免疫抑制状態が改善した

「この臨床研究では、シイタケ菌糸体などの栄養成分でも、免疫抑制状態を改善し、がん患者さんの免疫バランスを健常人とほぼ同じ状態に近づけられるということがわかりました」

従来の免疫療法は攻撃型の免疫細胞を活性化させる働きにのみ焦点があてられていたが、今後は免疫の攻撃を無力にしてしまう"免疫抑制細胞"を減らすことも求められている。

抗がん剤の副作用軽減効果の可能性も

さらに最近の研究から、シイタケ菌糸体の抗がん剤の副作用を軽減する効果にも期待が集まっている。

「クレスチンなどのキノコ由来の医薬品には、抗がん剤の副作用を軽減する効果が知られていますが、シイタケ菌糸体についても、末梢神経障害などの抗がん剤の副作用を軽減する効果が期待されています。私自身もそういった患者さんを目にしています。治療効果の向上を目指して抗がん剤治療を継続したいと思っても、副作用が強いと中止もやむを得ない場合があります。副作用を軽減することで治療を継続できることは、大きなメリットであると考えます」

この副作用の軽減効果についても科学的検証を試みようと、今年度中に国内の医療機関で臨床研究がスタートする予定。進行再発結腸がんなどの患者さんを対象に、化学療法特有の末梢神経障害などを中心とする副作用の軽減を目的として行われるようだ。

免疫バランスを整えて患者さんのがん治療をサポートするシイタケ菌糸体の可能性に期待が高まる。


詳しい研究内容はこちらへ
 シイタケ菌糸体研究会  
 小林製薬のがん免疫研究


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