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免疫抑制細胞を減らすことで注目されるシイタケ菌糸体
がんの再発予防には、「免疫抑制細胞」を減らすことが重要

がんと免疫の関係を
長年研究している
永山在明さん
「がんの再発予防には、免疫の働きをブロックする免疫抑制細胞を減らすことが重要」──11月5日に開催された第14回日本補完代替医療学会学術集会で、福岡大学名誉教授の永山在明さんはこう力説した。さらに、免疫抑制細胞を減らすものは何かについても、今明らかになりつつある。
がんの治療中・後は免疫が働きにくい状態
がんの治療を終えた次の段階として、免疫力を高めて再発を防ごうと考えている人は多い。体内に残っているかもしれないがん細胞を免疫力で攻撃しようというのである。ところが、福岡大学名誉教授の永山在明さんによれば、治療中のがん患者さんや、がん治療を終えて経過観察中の「再発予防ステージ」にいる人の免疫は、働きにくい状態になっているという。

「体には異物を攻撃する免疫システムと、免疫が働き過ぎないようにする免疫抑制システムが備わっています。がんなどを攻撃する免疫細胞(キラーT細胞など)に対し、その働きをブロックしているのが免疫抑制細胞(制御性T細胞など)です。原因はよくわかっていませんが、我々のデータではがん患者さんだけでなく、再発予防ステージの人も、しばらくは健康な人に比べ、この免疫抑制細胞が体内で多い状態でした」(図1)
がんを攻撃する免疫細胞があっても、免疫抑制細胞にブロックされてがん細胞にたどり着けず、免疫細胞が無力化させられた状態と考えられている(図2)。

免疫抑制細胞が予後の状態を左右する

永山さんは臨床試験データも紹介した。試験の対象となったのは腎がん、前立腺がんなどの治療をしていた13人の進行がん患者さん。最初に免疫検査を行い、20週間後に再び免疫検査をした。さらに、その6カ月後の経過も調べた。
免疫検査では、免疫細胞を活性化するインターフェロンγと、免疫抑制細胞が出すインターロイキン10という生理活性物質の比率に注目した。インターフェロンγ/インターロイキン10の比率は免疫の「攻撃・ブロック比」ともいうべきもので、値が大きいほど免疫がうまく働いていることを意味する。逆に、値が小さい場合は免疫が無力化された状態である。
「試験では2回目の検査から6カ月の時点で亡くなった方が4人、ご健在の方が9人でした。この人たちの免疫検査の結果を比べてみると、亡くなった方では『攻撃・ブロック比』が低下し、免疫抑制細胞を減らすことがいかに重要であるかがわかりました」(図3)
つまり、がんが免疫をブロックする力をいかに抑えるかが、生死を分けたと考えられる。永山さんによれば、再発予防ステージの人でも、「攻撃・ブロック比」は低下しているという。
免疫抑制細胞を減少させるシイタケ菌糸体
では、この「攻撃・ブロック比」を改善させることはできるのだろうか。さらに研究は進められ、さまざまながんで手術を受けた後、5種類のキノコ系サプリメントを20週間使用した17 人のデータが集められた。

「17人のうち、10人がシイタケ菌糸体(*)を摂取し、残り7人はシイタケ菌糸体以外のサプリメントを摂取していたのですが、この2群の間で差が認められました。免疫状態は、シイタケ菌糸体を摂取した群のほうが大きく改善していたのです」(図4)
この結果により、シイタケ菌糸体が免疫状態の回復に役立つことが明らかになった。ただし、ここでわかったのは、シイタケ菌糸体で免疫の「攻撃・ブロック比」が改善するということだけである。次の段階としては、本当に免疫抑制細胞を減らしているのかを明らかにする必要がある。すでに小林製薬などの基礎研究でシイタケ菌糸体が免疫抑制細胞を減らすことは明らかにされているが、ヒトでの臨床研究も現在進行中だ。
「現在はまだ少数の症例ですが、免疫抑制細胞が多かった人も、シイタケ菌糸体を長期間摂取することで、健康な人に近いレベルまで減っていくというデータも得られています」
がんの治療を終え、再発予防ステージにいる患者さんにとって、大きな厄介者は免疫抑制細胞のようだ。シイタケ菌糸体の免疫抑制細胞を減らす作用の今後のさらなる研究が期待される。
*シイタケ菌糸体=シイタケの根に当たる部分の有用成分を抽出したもの
詳しい研究内容はこちらへ
シイタケ菌糸体研究会
小林製薬のがん免疫研究
日本補完代替医療学会についてはこちらへ
日本補完代替医療学会
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