わたしの町の在宅クリニック21 目黒クリニック

泌尿器科を専門とし、がんの症状緩和にもしっかりと対応

取材・文●増山育子
(2016年2月)

  
「在宅医療ではしっかりと症状緩和をして、患者さんとの信頼関係を築くことが大切です」と語る
目黒則男さん
目黒クリニック

〒537-0014 大阪府大阪市東成区大今里西1-26-5 ロハスプラザ今里2F
TEL:06-6977-3355
URL:meguro-clinic.com/


大阪市東成区の商業ビル内クリニックフロアにある目黒クリニック。大阪府立成人病センターなど主要な医療施設に近く、病診連携を図るのにも好都合である。院長の目黒則男さんは「患者さんご自身に思いがあって、自分の生き方がある。それを継続的に見ることができ、最期の時間に付き合う在宅緩和ケアは、患者さんから様々なことを学びます」と語る。

泌尿器がんを専門に 在宅医療も行うクリニック

目黒クリニック院長・目黒則男さんは、大阪府立成人病センターや市立豊中病院で、長年、泌尿器がんの治療をしながら緩和ケア医を兼ね、その普及に邁進してきた。

2013年5月に開業してから15年末までに、目黒さんが対応して亡くなったがん患者さんは50人、そのうち在宅で看取ったのは40人である。現在、10~15人の患者さんの訪問診療を行っており、全てのがん種に対応するが、肺がんが最も多く約4割を占める。

また、目黒さんが専門にする泌尿器科がんの患者さんが多いのも特徴で、目黒さんのもとで前立腺がんの治療を継続したり、がん治療専門病院に通院中の患者さんが早い時期から紹介されてくるケースもある。

「治療が苦しかったので楽になりたいとか、逆に緩和ケアと関わるのはまだ早いと拒否されることもあります。できるだけ家で過ごしてもらいたいと思う一方で、がん治療医としては最後まで治療したいという患者さんの思いを叶えてあげたいとも思う。

いずれにせよ、本人の意向を尊重するのが基本で、治療したいという気持ちを遮断することはありません。症状緩和をしながら、状態が良くなったらまた治療を考えましょうと説明しています」

目黒さんは「在宅緩和医療にネガティブなのも患者さんの本心」と、その思いに寄り添う。「『もう死んでいくだけだ』とネガティブなことを言う人は、そう言う理由があるので、その思いをじっくり聞きます。開業して間もないこともあり、外来患者がそう多くないため、在宅医療の導入にあたっては面談の時間を取らずとも外来中にゆっくりと話すことができますし、訪問中に思いをお聞きすることもできます。あと、近隣に経験豊富ないい訪問看護ステーションが複数あり、いつも助け合っています」

「自分らしく過ごしたい」と望む 在宅患者さんの声

「在宅医療はがん治療をするわけではありませんので、患者さんとしてではなく1人の人として接します。開業して初めて末期がん患者さんが自分らしい自然な時間を過ごすということがどういうことか分かりました」と話す目黒さん。患者さん1人ひとりが思い出深く、印象に残っているという。

ある高齢の患者さんと亡くなる1カ月前に交わした会話は、「ペットが亡くなり方を教えてくれました」というものだった。

「『水分しか摂れなくなって、だんだん眠るようになって、最終的には水分も摂れなくなって眠るように亡くなった、私もそのようになるでしょう』と。その患者さんはその通りに亡くなりました。高齢のがん患者さんでは、老衰のように亡くなる方もおられます」

また、ある肺がんの男性は激しい痛みと呼吸困難感があり、持続皮下注射をして症状緩和を図っていたが、ある日、チューブが抜けたと電話がかかってきた。

「今からすぐに行きますと言うと、今はゴルフ場で、1ラウンドしてから帰るとおっしゃる。痛くて動けないほどだったのに、亡くなる何週間か前まで好きなゴルフをしていました。何かしたいという本人の思いがあれば、大抵のことはできます」

本人の希望を最優先にその人らしく過ごせるように、しっかりと症状緩和をして、患者さんとの信頼関係を築くことが大切ですと目黒さんは強調する。

「患者さんやご家族に受け入れてもらうには、困っているときに必ず患者さん宅に行くこと。状態の悪い人には夜中でも駆けつけます。そしてどんなにつらいときも褒めること。例えば『奥さんに優しい声をかけていましたね』とか『顔色が良くなっていますよ』というちょっとしたことです。やはり患者さんの家に行って顔色の変化や表情を観察し、部屋の空気感を察して、ゆっくり話をする。それを繰り返すことで分かり合えるのだと思います」

いつでもどこでも誰もが 緩和ケアを受けられるように

地下鉄今里筋線・千日前線「今里駅」8番出口より徒歩約1分にある目黒クリニック

目黒さん自身の経験から「病院勤務医時代は、寝たきりの患者さんや終末期の患者さんは退院させられないと考えていました」と指摘する。

「そうではないということを在宅医も勤務医もお互いが分かり合う時代になるように、また、がん患者さんは老衰のように亡くなる方もいればそうではない方もおられるので、その方の状態に合わせてきちんと最期を迎えられるように、スキルの啓発もしていかなくてはいけません」

いつでもどこでも誰もが緩和ケアを受けられて、よりよい自分らしい時間を過ごせるように。住み慣れた家で、その人らしく生き、その人らしく人生の幕をおろせるように――。

こうした地域作りに、目黒さんはこれからも邁進していく。

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