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乳がん、前立腺がん、膵がんの保険適用にも期待

ピンポイントでがんを狙い撃ち! 副作用が少ない治療「サイバーナイフ」

監修●井上洋 関東脳神経外科病院サイバーナイフセンターセンター長
取材・文●半沢裕子
発行:2012年12月
更新:2013年9月

  
井上洋さんピンポイント放射線治療機器の最先端であるサイバーナイフ治療に携わる井上洋さん

サイバーナイフは、頭頸部・脊椎以外の病気でも保険診療が望まれていた。2009年、ついに肺、肝臓といったがんで、腫瘍の大きさや個数など制限つきではあるが保険適応となった。放射線治療の最先端でもあるサイバーナイフのメリット、デメリット、そして適応や限界はどうなっているのだろうか?

ミサイルの技術を応用し、標的の動きを把握

■図1 サイバーナイフについて
■図1 サイバーナイフについて

がんの放射線治療の理想は、がん細胞に放射線があたり、まわりの正常な細胞には一切あたらないことだ。それが可能なら、まわりの細胞を傷つけることから起こる副作用や後遺症を気にせず、高線量の放射線をがん細胞だけにあてることができる。

近年、コンピュータ技術と画像診断技術の進歩にともない、そんな理想に近い放射線治療機器が次々登場している。サイバーナイフもその1つ(図1)。関東脳神経外科病院サイバーナイフセンター長の井上洋さんは語る。

「サイバーナイフはピンポイントでターゲット(病巣部)を、いろいろな方向から狙い撃ちします。しかも、患者さんが多少動いても、コンピュータが瞬時に位置修正を行うため、目標がずれません」

では、サイバーナイフは具体的にどう使われるのか?

網状のマスク(固定用マスク)

恐竜の頭にあたる部分は200kgに軽量化されたリニアック。精密に動くロボットアームに搭載したことで、全方向から放射線が撃てるようになった。これに2台のカメラとパネルからなる病変追尾装置と呼ばれる装置が搭載され、患者さんの位置は常時把握され、治療器が調整される。これにより、

「およそ100のポイントから各12方向、つまり、計1200もの方向から正確に放射線が撃てるようになりました」(図2)。

■図2 多重関節(6軸)ロボットアームについて
■図2 多重関節(6軸)ロボットアームについて

6軸関節をもつロボットアームは、あらかじめ定められた100カ所からそれぞれ12方向に照射ができる。これにより、最大1200の方向からビームを放つことができる。ロボットアームの繰り返し精度は、誤差0.2㎜以下で正確に動かすことができる

皮膚にも優しい微弱ビーム100本集まれば強力高線量

■画像3 サイバーナイフの脳腫瘍における治療効果
■画像3 サイバーナイフの脳腫瘍における治療効果

「治療後3カ月」と「治療後6カ月」で、あきらかな腫瘍縮小効果が認められる

X線は皮膚表面にもダメージを与えるが、サイバーナイフのビーム1本1本の線量は微小なので、皮膚への影響が少ない。また、重要な臓器などを通過しない通り道を選んで放射線を照射するので、他の臓器への影響も少なくてすむ。しかし、微小なビームも、1つのターゲットに100本、150本と重なり集中すれば、大きな線量となる。

「サイバーナイフの特徴の1つは『高線量を短期にできる』点なので、できるだけ1回で治療を終了します。たとえば、転移性脳腫瘍なら、1回に20グレイという途方もない線量を照射します。これは、通常の放射線治療で考えますと、1回2グレイを30日間かけて照射した場合の累積線量である60グレイと同じ効果があります」(画像3)

病状や状態によっては、必要線量を確保するため分割照射を行うが、多くは5、6回で終了するという。

治療のメリットとしては、

① 高い治療効果(がんをピンポイントで狙い撃ち)

② 少ない副作用や後遺症(まわりの臓器にあたる放射線量が少ない)

③ 体にメスを入れないので麻酔が不要で、傷や痛みがない

放射線を積極的に使う治療を「放射線外科治療」と呼ぶこともあるが、その考え方は「切開せずにターゲットを破壊する手術」。病巣はほぼ確実に破壊される。にもかかわらず、麻酔が不要で、治療後の傷や痛みもないのだ。

④ 短い入院・治療期間

■図4 治療の流れ
■図4 治療の流れ

関東脳神経外科病院のホームページには、「通常2泊3日ほどの入院、分割照射の場合、5~7日」という1文に続けて、「通院可能の場合は外来治療が可能となります」と書かれている(図4)。

治療の流れは簡単で、「治療日を決定したら、入院1日目に、病巣のある身体部位の大きな動きを抑える網状のマスクを、熱可塑性プラスチックでつくり、CTとMRIの検査を行い、そのデータを治療機のコンピュータに転送する(病巣を攻撃する際の「地図」として使用)。→2日目に治療→3日目に退院。あとはCT、MRIで経過を追う」ということになる。

入院したくない患者さんは、数日間通って、検査と治療を受けることができるのだ。

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