
2023年10月
「今後登場する免疫チェックポイント阻害薬を含む3剤併用療法や抗葉酸受容体ADC薬に期待すると同時に、日本人に合うdose-denseTC療法の意義を改めて広めていきたい」と話す岡本さん 今年(2023年)6月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、卵巣がんでは2つの大きな話題がありました。1つは免疫チェックポイント阻害薬(ICI)併用療法に臨床試験で初めて良好な結果が出て、将来の保険適用が視野に入ってき...


2023年9月
「がんの治療で頑張ってきた患者さんを循環器内科としてサポートしたいと思っていますので、がん治療中に何かおかしいと思ったら早めに相談して欲しい」と語る遠藤彩佳さん 抗がん薬アドリアマイシンによる心筋症は、何十年も前から知られていました。その後、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など新しい薬剤が登場し、多岐にわたる心血管の副作用(心血管毒性)が懸念されています。また、心血管疾患を抱える高齢のがん患...


2023年8月
「乳がん薬物療法が複雑化した現在、セカンドオピニオンが非常に有効になりました。ガイドラインとエビデンスだけでは語り切れないところに、リアルワールドデータが治療選択のヒントになってきます」と話す大野真司さん 今年(2023年)3月、抗体薬物複合体のエンハーツがHER2低発現に承認されたことで、乳がんの薬物療法はさらなる進化を遂げました。いまや、乳がん専門医でさえ戸惑うほど、治療法は複雑化しています。...


2023年8月
「ctDNAで、術後補助療法が必要かどうかがわかり、無駄な治療を回避できることで、副作用で苦しむ人を減らすことができます。また、再発する人も極限まで減らせるのではないかと期待されています」と語る沖英次さん 大腸がん手術後の補助化学療法は、従来はステージと病理検査などから推定されるリスクに応じて行われていました。そこにゲノム医療を導入しようと臨床試験が行われ、術後のctDNAが陽性の人は、陰性の人に...


2023年8月
「高リスクになりそうな甲状腺がんには、病理診断を行う段階で遺伝子検査を行うことが勧められます。現在はそのような仕組みがありませんが、今後の課題だろうと思います」と語る杉谷さん 甲状腺がんは、肺がんや胃がんといった他の固形がんとは、かなり異なる特徴をもっています。とくに小さくて転移や浸潤もない超低リスク乳頭がんの場合には、すぐに手術をせず経過観察する「非手術経過観察」も推奨されています。日本のガイド...


2023年7月
「切除可能NSCLCの薬物療法は術前か術後のどちらがよいかが、いま大きな議論になっています。私はステージⅢなら術前、ステージⅡまでは現時点では術後がよいと考えます」と話す大矢由子さん 切除可能でもⅡ期以降は術後補助療法が推奨される非小細胞肺がん(NSCLC)。その周術期治療に、この1年、進化が起きています。術前、術後治療に免疫チェックポイント阻害薬が登場し、EGFR遺伝子変異陽性には術後補助療法に...


2023年6月
「エンハーツが今まで適応にならなかった45~55%のHER2-low患者さんに使用が可能になったことは大きい」と語る向井さん 抗体薬物複合体という新しいタイプの薬剤エンハーツは、2020年3月、HER2陽性の転移・再発乳がんに対する3次治療薬として承認されました。そして、2022年11月には2次治療で、さらに今年3月には、従来のHER2陽性のみならず、HER2の発現が少ない(HER2-low)乳が...


2023年6月
「薬物療法で副作用が出るとサポーティブケアを行うように、経済毒性に対してもケアが大切です」と話す本多和典さん がん治療に伴う経済的な負担が、患者さんやご家族のQOLに大きく関わることが明らかになってきました。今年(2023年)3月に開催された日本臨床腫瘍学会の学術集会でその現状が取り上げられ、まず「経済毒性」についての認識を医療者が共有すること、そして、軽減策、解決策を探っていく必要性が議論された...


2023年4月
「切除不能の非小細胞肺がん薬物療法におけるいちばんの課題は、タグリッソ耐性後の治療です。それを克服すべく、現在、臨床試験を進めています」と話す高橋さん 肺がん薬物療法は驚異的な進化を遂げ続けています。皮切りとなったのが約20年前に登場した分子標的薬イレッサ。がん組織にドライバー遺伝子変異を見つけ出し、その変異をピンポイントに阻害するという、それまでとは全く違う機序を持つ分子標的薬の登場が肺がん治療...


2023年3月
「これまでは後ろ向き解析しかなかった抗EGFR抗体薬の使い方が、初めての前向き試験のデータにより完全に確立したということです」と話す砂川優さん 進行がんの薬物療法は進化しています。大腸がんも例外ではありません。昨年(2022年)1月、3年ぶりに「大腸癌治療ガイドライン」(第7版)が改訂され、遺伝子変異の有無と原発巣の発生場所が治療選択を左右することが記載されました。ただ、その根拠となるデータはすべ...
