2024年10月
「かつては考えられないことでしたが、薬物療法でがんが大幅に減ったところで、肝動脈塞栓療法を行うことにより、がんがすべて消えた状態になるケースも現れています」と語る奥坂さん 肝炎治療薬の普及などでB型C型肝炎が減少し、肝細胞がんは減少傾向にありますが、脂肪肝など背景の違った肝細胞がんを発症するケースが増えています。進行がんの薬物療法では、免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬の併用である「テセントリ...
2024年2月
「MSI-Hか否かは予後や術後補助化学療法の成績、1次治療の免疫チェックポイント阻害薬の効果に大きく影響しますので、胃がんと診断されたらすぐ、MSI検査をすべきと考えます」と話す室さん 昨年(2023年)10月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2023)において、胃がん薬物療法の今後の方向性を示唆する試験結果がいくつか報告されました。免疫チェックポイント阻害薬を1次治療から追加する試験と新たな分子標的薬...
2023年12月
「今まで新規ホルモン療法薬を使っていない患者さんに、リムパーザとザイティガ併用療法はよく効きます。いずれ効かなくなったとしても、ドセタキセルやジェブタナを使うことができます。そうやって逐次療法を続けていくことで、大きな恩恵が得られると思います」と語る大家さん 転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療に、新しい薬物療法が登場しました。新規ホルモン療法薬のザイティガと、BRCA遺伝子変異陽性の前立腺がんに効く...
2023年12月
「免疫チェックポイント阻害薬を投与する際には、命に関わることもある心筋炎を見逃さないために心電図と血液検査が重要です」と話す田尻和子さん がん治療の薬物療法には脱毛、倦怠感、嘔吐・悪心などさまざまな副作用がありますが、近年、治療薬の開発が進み、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、抗体薬物複合体薬など、これまでの細胞障害性抗がん薬と異なった作用機序の新薬が次々と登場し、これまでにない副作用も多く...
2023年11月
「SONIA試験の結果は1次治療からCDK4/6阻害薬を使わなくてもうまく行く可能性はあるということを保証してくれるデータではありますが、全例で最初から使うのをやめましょうとはなりません」と語る髙田さん ホルモン受容体(ER)陽性HER2陰性の進行・再発乳がんで、現在1次治療で標準治療となっているCDK4/6阻害薬を、1次治療で使用するか2次治療で使用するか比較した「SONIA試験」。その結果は、...
2023年10月
「今後登場する免疫チェックポイント阻害薬を含む3剤併用療法や抗葉酸受容体ADC薬に期待すると同時に、日本人に合うdose-denseTC療法の意義を改めて広めていきたい」と話す岡本さん 今年(2023年)6月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、卵巣がんでは2つの大きな話題がありました。1つは免疫チェックポイント阻害薬(ICI)併用療法に臨床試験で初めて良好な結果が出て、将来の保険適用が視野に入ってき...
2023年9月
「がんの治療で頑張ってきた患者さんを循環器内科としてサポートしたいと思っていますので、がん治療中に何かおかしいと思ったら早めに相談して欲しい」と語る遠藤彩佳さん 抗がん薬アドリアマイシンによる心筋症は、何十年も前から知られていました。その後、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など新しい薬剤が登場し、多岐にわたる心血管の副作用(心血管毒性)が懸念されています。また、心血管疾患を抱える高齢のがん患...
2023年8月
「乳がん薬物療法が複雑化した現在、セカンドオピニオンが非常に有効になりました。ガイドラインとエビデンスだけでは語り切れないところに、リアルワールドデータが治療選択のヒントになってきます」と話す大野真司さん 今年(2023年)3月、抗体薬物複合体のエンハーツがHER2低発現に承認されたことで、乳がんの薬物療法はさらなる進化を遂げました。いまや、乳がん専門医でさえ戸惑うほど、治療法は複雑化しています。...
2023年8月
「ctDNAで、術後補助療法が必要かどうかがわかり、無駄な治療を回避できることで、副作用で苦しむ人を減らすことができます。また、再発する人も極限まで減らせるのではないかと期待されています」と語る沖英次さん 大腸がん手術後の補助化学療法は、従来はステージと病理検査などから推定されるリスクに応じて行われていました。そこにゲノム医療を導入しようと臨床試験が行われ、術後のctDNAが陽性の人は、陰性の人に...
2023年8月
「高リスクになりそうな甲状腺がんには、病理診断を行う段階で遺伝子検査を行うことが勧められます。現在はそのような仕組みがありませんが、今後の課題だろうと思います」と語る杉谷さん 甲状腺がんは、肺がんや胃がんといった他の固形がんとは、かなり異なる特徴をもっています。とくに小さくて転移や浸潤もない超低リスク乳頭がんの場合には、すぐに手術をせず経過観察する「非手術経過観察」も推奨されています。日本のガイド...