
2022年11月
「緩和ケア医療はこの10数年で格段の進歩を遂げ、今は苦痛を和らげる方法も薬もたくさんあります。それでも、どうしても耐えがたい苦しみから逃れられない状態になったときには、セデーションという選択肢があることを知っておくことは大切だと思います」と語る清水 研さん 医学の進歩によって、がんはもはや死に直結する病ではなくなってきたものの、それでもやはり、自身や家族ががんと告知された瞬間、それまで遠かった「死...


2020年4月
「どんなに治療が進化しても、終末期は誰にでも必ず訪れます。QOL(quality of life:人生の質)とともにQOD(quality of death:死の質)を考えることも大切です」と語る青木友和さん 希少がんである*原発性脳腫瘍のうち、最も悪性度が高いのが*グリオーマの一種である膠芽腫(こうがしゅ)だ。膠芽腫の生存期間中央値は14~16カ月で、高齢者では12カ月にも満たず、5年生存率も極...


2019年11月
たまおき みょうゆう 「スピリチュアルケアとは、患者さんが何かを見つけようとしているプロセスを全力で邪魔しないようにすることです」と語る玉置妙憂さん 大慈学苑看護師として医療現場で忙しい日々を送っていた玉置妙憂さんは、2012年、末期がんの夫を自宅で看取った。延命治療を拒んだ夫が強く望んだ自宅での「自然死」。樹木が少しずつ枯れて最後は土に戻るような〝美しい死〟を目の当たりにし、誘(いざな)われるよ...


2019年11月
「患者さんは痛みが起こると悪化していると思いこみ我慢しがちですが、痛いときは痛いと言いましょう」と語る鈴木 勉さん 米国では麻薬性鎮痛薬オピオイドの過剰摂取(乱用)による死者が急増し、2017年にトランプ政権が非常事態宣言を発令した。これに対し、わが国では『ダメ。ゼッタイ。』普及運動で知られる麻薬撲滅運動が功を奏し、日本は世界的に見ても薬物生涯経験率が最も低い国だ。反面、がん治療で使われる医療用麻...


2019年4月
「終末期を、どこで、どう過ごしたいか。怖がらずに担当医や家族とよく話し合って、悔いのない時間を過ごしてほしいです」と語る青木友和さん 希少がんである悪性脳腫瘍。治療を尽くすことはもちろんだが、同時に緩和・終末期ケアについて冷静に考えておくことは、患者だけでなく家族のためにも大切ではないだろうか。しかし、悪性脳腫瘍の緩和・終末期ケアに関する情報は、世界的に見てもまだ少ない。ヨーロッパでは2017年に...


2018年12月
「辛い思いをしている患者さんを救うため、我々はがんを治療している医療者に緩和ケアを正しく理解してもらうべく積極的に活動しています」と語る東北大学病院緩和ケアセンター長の井上彰さん 緩和医療(緩和ケア)というとどのようなイメージを抱くだろうか。おそらくはすべての治療の手を尽くした後、身体的な痛みや精神的な苦痛を和らげて死を待つという感じが多いと思われる。がん治療ではエビデンス(科学的根拠)に基づいた...


2017年12月
「呼吸困難の多くは呼吸不全がある人に起きますが、呼吸不全がなくても呼吸困難を訴える人はいます。本人にしかわからない感覚なので、大切なのは息苦しさを感じているということをきちんと伝えることです」と語る田中桂子さん 呼吸困難などの呼吸器症状は、がんの患者によく発生し、難治性であることが知られている。呼吸困難はあくまで主観的な症状であり、低酸素血症が起きていない人が、息苦しさを訴えることも少なくない。こ...


2017年12月
「Shared decision makingという考え方が大切」と語る清水さん がんの急変(オンコロジック・エマージェンシー)は、転移、浸潤、治療による合併症など多種多様である。ときには急激に生命を脅かす症状をもたらす場合もある。そのようながんによる急変には、どのように対応したらいいのか、専門医に伺った。 様々な要因で起こるオンコロジック・エマージェンシー 根治(こんち)が望めない進行再発がんに...


2017年11月
「ケミカルコーピングは依存に繋がるからダメ!と頭ごなしに否定するのでなく、そこに至る患者さんの孤独や不安、コーピング能力が低い要因に視点を向けることが大切だと思います」と話す谷口彩乃さん 「ケミカルコーピング」という言葉をご存じだろうか。この場合ケミカルは「薬物」、「コーピング」は「対処法」を指し、詰まるところ「薬物による対処法」という意味になる。がん疼痛の緩和を目的に処方されるオピオイド鎮痛薬(...


2017年11月
「目の前の信頼する医療者に〝いま困っていること〟を話してみるのが、緩和ケアへの確かな一歩です」と語る竹井清純さん 日本人の気質ゆえか、痛みを口に出さず耐え続けるがん患者が多い。痛みを我慢し過ぎると、痛みを司る神経が敏感になり、同程度の痛みをさらに強いものに感じてしまうようになる。医療の進歩で、現在は痛みのコントロールが可能になった。つらいときは「つらい」、痛いときは「痛い」と、勇気を出して医療者に...
