2024年3月
「重粒子線治療を含むコンバージョン手術を適切に行えば、切除不能局所進行膵がんであっても、長期生存やあるいは治癒も可能になってくるのではないかと期待しています」と語る元井さん 難治がんで知られる膵がん。今注目されているのが、切除不能局所進行膵がんでも化学療法+放射線治療が奏功すれば手術を行なう治療法です。このような手術をコンバージョン手術と呼んでいます。国内7番目の重粒子線治療施設を持つ山形大学医学...
2024年2月
「MSI-Hか否かは予後や術後補助化学療法の成績、1次治療の免疫チェックポイント阻害薬の効果に大きく影響しますので、胃がんと診断されたらすぐ、MSI検査をすべきと考えます」と話す室さん 昨年(2023年)10月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2023)において、胃がん薬物療法の今後の方向性を示唆する試験結果がいくつか報告されました。免疫チェックポイント阻害薬を1次治療から追加する試験と新たな分子標的薬...
2024年1月
「がん遺伝子パネル検査の目的は、発がんのドライバーになっている遺伝子変異を同定し、それを標的とした薬剤を見つけることです」と語る植木さん がんの原因となった遺伝子に起きている変異を特定し、それをターゲットにがん細胞を狙い撃ちするがんゲノム医療は、がん医療最前線の治療です。この医療を受けるにはがん遺伝子パネル検査を受けることが必要です。そのがん遺伝子パネル検査は、2019年6月から健康保険で受けられ...
2023年12月
「今まで新規ホルモン療法薬を使っていない患者さんに、リムパーザとザイティガ併用療法はよく効きます。いずれ効かなくなったとしても、ドセタキセルやジェブタナを使うことができます。そうやって逐次療法を続けていくことで、大きな恩恵が得られると思います」と語る大家さん 転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療に、新しい薬物療法が登場しました。新規ホルモン療法薬のザイティガと、BRCA遺伝子変異陽性の前立腺がんに効く...
2023年12月
「免疫チェックポイント阻害薬を投与する際には、命に関わることもある心筋炎を見逃さないために心電図と血液検査が重要です」と話す田尻和子さん がん治療の薬物療法には脱毛、倦怠感、嘔吐・悪心などさまざまな副作用がありますが、近年、治療薬の開発が進み、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、抗体薬物複合体薬など、これまでの細胞障害性抗がん薬と異なった作用機序の新薬が次々と登場し、これまでにない副作用も多く...
2023年11月
「SONIA試験の結果は1次治療からCDK4/6阻害薬を使わなくてもうまく行く可能性はあるということを保証してくれるデータではありますが、全例で最初から使うのをやめましょうとはなりません」と語る髙田さん ホルモン受容体(ER)陽性HER2陰性の進行・再発乳がんで、現在1次治療で標準治療となっているCDK4/6阻害薬を、1次治療で使用するか2次治療で使用するか比較した「SONIA試験」。その結果は、...
2023年11月
「コルポスコピー検査は前がん病変を評価し確定診断につなげる検査。誤診があってはならない最後の砦です。このAI支援ツールがコルポ診のクオリティ担保を実現し、将来的には医療機器プログラムとして保険適用されることを目指します」と話す植田さん 今年8月に横浜で開催された「ASCO Breakthrough 2023」で、「AI(人工知能)搭載コルポスコピー検査システム」が開発されたことが発表されました。検...
2023年11月
「アマテラス試験などのメタ解析から、毎日ビタミンDを服用することで、がんによる死亡を12%抑制できることがわかりました。世界中で毎年1,000万人ががんで命を落としています。ビタミンDを服用することで、がんの死亡を10%抑制できたら、毎年100万人の命を救えることになります」と語る浦島さん がんによる死亡を減らすと期待されているビタミンD。日本で行われたアマテラス試験を始め、世界中でいくつもの興味...
2023年10月
「Saroaの大きな特徴の1つは、従来のロボットになかった〝触覚〟です。物をつかんだ強さが鉗子にフィードバックされます」と語る三木さん 米国で誕生した内視鏡下手術支援ロボットのダヴィンチが日本に導入されて約20年。その後ロボット手術の普及はめざましく、今やほとんどのがん領域でロボット手術が保険で行えます。そんな中、日本で開発された手術支援ロボットSaroaが2023年5月に承認されました。7月に大...
2023年10月
「今後登場する免疫チェックポイント阻害薬を含む3剤併用療法や抗葉酸受容体ADC薬に期待すると同時に、日本人に合うdose-denseTC療法の意義を改めて広めていきたい」と話す岡本さん 今年(2023年)6月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、卵巣がんでは2つの大きな話題がありました。1つは免疫チェックポイント阻害薬(ICI)併用療法に臨床試験で初めて良好な結果が出て、将来の保険適用が視野に入ってき...