がんサポート2015年8月号

放射線治療&希少がん特集

1 正常組織のダメージを減らし、より精度の高い放射線治療を実現
X線応用の新規治療法開発と粒子線治療の開発が進む

監修●秋元哲夫 国立がん研究センター東病院放射線治療科科長/粒子線医学開発分野長

放射線治療では従来から行われてきたX線、ガンマ線治療に加え、より集中性を高めてがん組織を叩くことができる陽子線、重粒子線などによる粒子線治療も行われるようになった。また従来に比べ、腫瘍周辺の正常細胞や重要臓器への照射をできるだけ減らし、なおかつ腫瘍に高線量の放射線を照射する技術も開発されている。そこで国立がん研究センター東病院放射線治療科科長の秋元哲夫さんに放射線治療の最新動向について伺った。

2 頭頸部がんの化学放射線療法 根治と機能温存の両立を目指す
セツキシマブ承認で頭頸部がんの化学放射線療法はどう変わる?

監修●稲葉浩二 国立がん研究センター中央病院放射線治療科医師

根治を目指すとともにできる限り機能を温存したいのが頭頸部がんの治療。近年、放射線と化学療法を併用した治療法の有効性が明らかとなり、根治と機能温存の両立が可能になってきた。2012年12月、分子標的薬が加わったことにより、治療選択肢はますます広がっている。

3 口腔乾燥、粘膜炎はセルフケアを積極的に
頭頸部がんの化学療法と放射線同時併用療法の副作用対策

監修●久保田 彰 神奈川県立がんセンター頭頸部外科部長

手術がメインだった従来の治療から、化学療法と放射線治療を組み合わることで「切らない治療」が可能になった頭頸部がん。近年注目されている化学療法と放射線同時併用療法で起こりうる副作用とその対策には、どのようなものがあるのだろうか。

4 救済手術も視野に入れた新たな治療法も開発中
切らずに根治も可能に――。食道がんの化学放射線療法

監修●伊藤芳紀 国立がん研究センター中央病院放射線治療科医長

食道がんの根治を目指す治療法として化学放射線療法の有効性が明らかになり、手術が可能な症例でも化学放射線療法が選択肢の1つとなるまでになっている。さらに現在、初回の化学放射線療法で効果が認められなかった場合の救済治療を見越した治療戦略も検討されており、患者さんの治療選択肢は増えている。

5 「患者の力」に着目したセルフケア支援が重要に
放射線治療開始前から副作用を推測して、患者に伝える

監修●後藤志保 がん研有明病院看護部副看護師長・がん看護専門看護師

放射線治療は通院で治療を受ける患者さんが多い。そのため、副作用対策はセルフケアに頼らざるを得ない。いつ頃、どのような症状が現れてくるのかを前もって知らせ、適切に対応できるようにすることが大切だ。「患者の力」を最大限に引き出すセルフケア支援が、治療中のQOL(生活の質)維持に役立っている。

6 希少がんの基礎知識 日本唯一のホットラインも機能
政府も動き出した希少がん対策

監修●川井 章 国立がん研究センター中央病院希少がんセンター長

「希少がん」の定義が日本では定まっていないことはあまり知られていない。希少がんと診断された患者さんはどうすればいいのか、治療はどうあるべきか、国内唯一の希少がんセンターを持つ国立がん研究センター中央病院希少がんセンター長の川井章さんに伺った。

7 今春には再発膠芽腫に新たな治療機器が承認
治療法は着実に進歩!神経膠腫の最新治療

監修●成田善孝 国立がん研究センター中央病院脳脊髄腫瘍科科長

悪性脳腫瘍で最も多い神経膠腫。悪性度により、治療は手術だけではなく、放射線治療や化学療法が必要となってくる。そうした中、今年(2015年)3月には、神経膠腫の中でも最も悪性度の高い膠芽腫に対する再発治療として、新たな治療機器が承認された。神経膠腫の治療は着実に進歩している。

8 小児がんの新たな取り組み スタートした医師主導治験
小児がんの新薬開発で再発治療の充実を!

監修●河本 博 国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科医長

小児がんは子どもがかかるがんの総称だが、希少がんということで治療法の開発が遅れてきた分野だ。しかし、近年では医師主導型の臨床試験が立ち上がるなど新しい動きが出ている。その先端にいる専門医に小児がんの新たな取り組みについて聞いた。

9 皮膚がん治療の新しい動向 新しい治療薬・治療法の効果に期待
メラノーマ(悪性黒色腫)、血管肉腫の治療が大きく変わる

監修●吉野公二 がん・感染症センター都立駒込病院皮膚腫瘍科医長

皮膚がんには、基底細胞がん、メラノーマ(悪性黒色腫)など数種があるが、それぞれ病気の性格が大きく異なり、治療法も違う。患者数は少なく、これまで新しい治療法の開発が進みにくい状況にあったが、メラノーマについては、昨年(2014年)から新薬が次々に発売され、血管肉腫では、治療法が変わり生存期間を大きく伸長している。激変する皮膚がんの治療を紹介する。

10 特別企画「世界頭頸部がんの日」~世界頭頸部癌学会(IFHNOS)が宣言~
「世界頭頸部がんの日」予防と早期発見を目指して、正しい知識を世界規模で普及

取材・文●「がんサポート」編集部

世界頭頸部癌学会(IFHNOS)が、昨年(2014年)7月に米ニューヨークで開催した第5回IFHNOS会議において、頭頸部がんの予防と早期発見を目指して正しい知識を世界規模で普及させることを目的として、毎年7月27日を「世界頭頸部がんの日」とすることを宣言し、定められた。がんサポートでは、「世界頭頸部がんの日」を機に、日本頭頸部癌学会(理事長:林 隆一・国立がん研究センター東病院頭頸部外科長)の協力を得て、特別企画として予防から最新治療までを取材した。

医療

凄腕の医療人
がん体験者が充実した生活を送れるよう「がんサバイバーシップ」普及に情熱を傾ける

凄腕の医療人●山内英子 聖路加国際病院ブレストセンター長/乳腺外科部長

がんは「不治の病」のイメージが強いが、治療法などの進歩により、治療後もケアをしながらずっと付き合っていく「慢性疾患」と捉えるべきケースが増えている。若い患者さんや早期発見の多い乳がんはとくにその要素が強い。このようなケースを嚆矢として「がんの治療を終えてからの人生をどう充実させるか」を重視する〝がんサバイバーシップ〟という闘病の仕方が注目されるようになってきた。聖路加国際病院ブレストセンター長の山内英子さんはその国内での普及の先頭を切っている。

がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう!
4 感染症

監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長

感染を怖れるあまり、やりたいことを諦めて、家に閉じこもっていませんか?抗がん薬治療で抵抗力が落ちる時期は、おおよそ前もってわかります。その期間はポイントをおさえて対処。なるべく普段通り、気持ちよく過ごしましょう。大切なのは、正しい知識です。

患者のためのがんの薬事典
タキソテール(一般名:ドセタキセル)/イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)/ザイティガ(一般名:アビラテロン)/ジェブタナ(一般名:カバジタキセル)去勢抵抗性前立腺がんの治療薬

監修●湯浅 健 がん研有明病院泌尿器科

前立腺がんの治療では、ホルモン療法が行われることがあります。それが効かなくなったのが、「去勢抵抗性前立腺がん」です。かつて、治療薬はタキソテールだけでしたが、2014年に、イクスタンジ、ザイティガ、ジェブタナが承認され、これらも治療に使用できるようになりました。選択肢が増えたことで、治療の可能性が広がったと言えます。ただし、これらの薬をどの順番で使うのがよいのかについては、現在のところ明確なエビデンス(科学的根拠)はありません。

対談

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談
遺伝性がんの予防的切除は保険適用にしてほしい

●太宰牧子さん(遺伝性乳がん卵巣がん当事者の会「クラヴィスアルクス」代表)

2年前、ハリウッド女優アンジェリーナ・ジョリーが遺伝性がんに配慮して乳房を摘出したことは、世界的なニュースとなったが、昨年5月、日本に遺伝性乳がん・卵巣がん当事者の会「クラヴィス(鍵)アルクス(虹)」が誕生した。自ら遺伝性乳がんの患者さんで、左乳房を全摘している太宰牧子代表に、鎌田さんが会設立の経緯などを聞いた――。

生き方

私の生きる道 落語を通して倍返しをしたい

●腎盂がんと膀胱がんを経験し、さらに芸に磨きがかかった落語家・柳家権太楼さん(68歳)

闘病生活を通して、本当に沢山の人に救われた。だからこそ「その人たちに、落語を通して倍返ししないといけない。そうしないと、落語の神様は許してくれないと思っています」。こう話すのは、落語家の柳家権太楼さんだ。闘病生活を支えたのは、落語をしたい、高座に上がりたいという、落語に対する強い思いだった。

がん闘病記 2 「骨外性粘液型軟骨肉腫」を知っていますか 1

●田村ひとみさん(主婦・コンビニパート)

痛くも痒くもない盛り上がっているこぶが希少がんと診断されて

患者サポート

がん相談 脳腫瘍/卵巣がん/乳がん

脳腫瘍●回答者:田部井勇助・日本赤十字社医療センター脳神経外科専門医

卵巣がん●回答者:織田克利・東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座生殖腫瘍学准教授

乳がん●回答者:上野貴史・板橋中央総合病院外科医師

症状別おすすめ・レシピ (3)口内炎・食道炎のときの食事

レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士

がんの治療中に口内炎ができたり、食道炎になる方がいます。刺激が強い、固い、弾力があるなどの食材は避け、やわらかで、なめらかな料理に仕上げることがポイントです。

わたしの町の在宅クリニック 16
患者さんの気持ちや物語に寄り添い、納得度の高いケアを

●鈴木内科医院

鈴木内科医院(東京都大田区)は、院長である鈴木央さんの父、荘一さんが1961年に開業した。日本にターミナルケアという言葉すらあまり知られていなかった70年代にいち早くその概念を取り入れ、積極的に終末期の患者さんのケアを行ってきた。医院としてその方針は引き継がれ、央さんが院長となった今、在宅で最期を迎える患者さんの気持ちやこれまで歩んできた〝物語〟を大切したケアが施されている。

患者会レポート
自分の闘病体験から生まれた、これまでにない「支え合いサイト」

●非営利社団法人運営「5years」

2007年にマラソンのトレーニング中に怪我をして入院した大久保さんは、退院間際に精巣腫瘍と診断されました。手術後、困難な闘病生活の末、100kmマラソンを完走できるまでに回復。生かされた次の人生は「がん患者さんのために」と決意し、今年2月、ウェブサイト患者会「5years」を立ち上げました。

がん哲学外来 今月の言葉「正論よりも配慮を」

●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授

がんになっても仕事を休まない父(T・Y さん、女性 25歳)



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