欧州臨床腫瘍学会が新型コロナウイルス感染症とがん治療について見解表明 ~臨床腫瘍医の要望に回答~

[2020.04.09] 文・編集●「がんサポート」編集部

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)は、先ごろ、新型コロナウイルス感染症2019(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)下で、がん治療を継続的に行っている腫瘍医の要望に対し、以下のような見解を発表した。

併発症を持つ高齢がん患者では感染リスク高い

ESMOによると、「がん患者でのCOVID-19の高頻度な発症の可能性を示唆する、システマティック(体系的)な研究報告はまだないが、高齢患者で、特に慢性肺疾患、心血管疾患、糖尿病、慢性腎疾患を併発している患者、およびがんが活性化している患者では、感染しやすいことを示すデータがある」という。

注意喚起が必要な高リスク患者

ESMOは、注意喚起が必要な高リスク患者として:

・化学療法を受療中、または過去3カ月以内に化学療法を受けたことのある患者
・強度(extensive)放射線治療を受けている患者
・過去6カ月以内に、骨髄あるいは幹細胞移植を受けた患者、または現在も免疫抑制薬を服用している患者
・血液(造血器)系あるいはリンパ系がんで、治療を必要としないものの、免疫システムにダメージを来している患者(例:慢性白血病、リンパ腫、骨髄腫)

――などを挙げている。

また、がん患者の中で特異的にリスクが高いグループとしては、免疫システム障害や白血球減少症、免疫グロブリン低値を来している者、長期間の免疫抑制薬(ステロイド薬、抗体医薬など)服用者が挙げられている。

免疫抑制薬が及ぼす影響は不明

ESMOは、「リスクのある患者への免疫療法(免疫抑制薬)が及ぼすインパクト(影響)については、今のところ明らかなエビデンス(科学的根拠)はない」としている。

「しかし、ウイルス感染患者では、上気道感染を伴うと、有害転帰(アウトカム)のリスクを増大させる」と指摘。これに加えて、「慢性炎症や閉塞性肺疾患(COPD)は、主要な呼吸器合併症リスクを増大させる可能性がある」としている。

個別的なリスク・プロファイルを話し合い、助言を受けることが肝要

ESMOは患者に対して、「何はともあれ、患者は治療を受けている腫瘍医と、個別的なリスク・プロファイル(特徴や種類など)を話し合い、助言を受けることが肝要である」とのメッセージを送っている。

<参考情報>欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ホームページ

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