新型コロナウイルスに感染したがん患者の転帰は不良 中国・武漢での感染患者の臨床的特徴
[2020.04.11] 文・編集●「がんサポート」編集部
中国・武漢の3医療施設において、新型コロナウイルスに感染した重度がん患者28例(男性17例、年齢中央値65.0歳)を対象とした、レトロスペクティブ(後ろ向き)研究が行われ、新型コロナウイルスに感染したがん患者では、状態が悪化し、アウトカム(転帰)が不良であることが示された。
研究では、2020年1月13日から2月26日までの診療記録をもとに臨床データを集積。ICU(集中治療室)入院、人工呼吸器使用、死亡患者における、リスクファクター(危険因子)などの臨床的特徴を評価するために、単変量および多変量解析が行われた。
対象となった患者では、肺がん患者が7例と一番多く、8例は院内感染が疑われた。
解析の結果から、新型コロナウイルス感染がん患者では、重度の臨床的イベントの発症や死亡なとの不良なアウトカム(転帰)を来していること。また、新型コロナウイルスと診断される前の14日以内に抗がん治療受けた患者では、重度イベントへの進展リスクが増大していることが示された。
これらの知見から、抗がん治療を受けている患者では、新型コロナウイルス感染に対し、胸部CT検査や核酸増幅検査(NAT)などのスクリーニングを積極的に受けるとともに、免疫抑制をもたらす治療を避けるか、感染をもたらす治療薬の投与量を減らすことが推奨されている。