新型コロナウイルス感染症大流行下における最善のがん治療

[2020.04.14] 文・編集●「がんサポート」編集部

全国7都府県において新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する “緊急事態宣言” が発令されて1週間。対象都府県以外にも感染者が増加傾向にあるが、中でも医療施設での集団感染(クラスター)が問題となってきている。

こうした状況下で、がん患者および医療従事者は、新型コロナウイルス感染症にどう対応すれば良いのか。欧米および日本国内においても、まだ手探り状態で、腫瘍専門学会からも正式なガイドライン(指針)は示されていないのが現状だ。

そうした中で、米国内科学会(ACP)発行の医学誌「Annals of Internal Medicine」に、腫瘍専門医向けの、「新型コロナウイルス感染症危機下での対応ガイダンス(指導書)」が掲載されている。

掲載報告では、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)下において、治療中のがん患者に対し、臨床医は最善のアプローチ(対応)を行うよう促している。

具体的には、がん診断、実際的な治療、長期的なフォローアップにおいて、

①潜在的な新型コロナウイルス感染への曝露リスクに対し、がん診療の延期と治療ベネフィット(便益)とのバランスの考慮

②社会的距離戦略(social distancing behaviors)において、医療に著しい混乱(破壊)をもたらすリスクの緩和

③医療危機状況下における、限られた医療財源の適正な割当の管理

――をどのように行うか、検討が必要としている。

進展リスク、年齢層別の対応を促す

図は、このような状況において、新型コロナウイルス感染症危機下での、進展リスク(低度~高度)と年齢層を考慮した対処法を示している。腫瘍専門医、およびその他の医療従事者向けのものだが、がん患者にとっても、感染予防とともに気になる情報と思われる。

内容を理解するに当たっての注意事項としては:

・現状では、がん治療の導入(initiate)、あるいは延期の決定をサポートする、確固たる転帰(アウトカム)を示したエビデンス(科学的根拠)が不足していること

・本図における推奨は、コンセンサス(合意)をベースにしたものであり、あくまでも一般的なガイドライン(指針)としてのみ用いるべきものであること

・個々のがん患者およびヘルスシステムの状況に合わせた、腫瘍専門医の見解であることを常に意識しておく必要があること

――などである。

図. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)危機下での迅速ながん治療決定ガイダンス

COVID-19: コロナウイルス 2019 R+: ホルモン受容体陽性 HER2-: ヒト上皮成長因子受容体2陰性

<参考情報>「Annals of Internal Medicine」 27 March 2020

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