新しい血液検査で50種類超のがんの検出が可能に

[2020.04.20] 文・編集●「がんサポート」編集部

新しい血液検査(リキッドバイオプシー)により、50種超のがんが検出でき、さらにステージ(病期)別の高い感度が得られ、体内での存在(局在)部位も知ることができることが、米国の研究で明らかになった。

米国での6,689例(50種超のがん患者2,482例、非がん患者4,207例)を対象とした研究で、対象者の血液サンプルを次世代シーケンサー(NGS)で解析し、トレーニングセット(training sets)と検証セット(validation sets)に分けて検討した。

日米で異なるマーカー “ctDNA/cfDNA”と“miRNA”

がん診断における血液検査の解析対象として、米国を中心に開発されている血中循環腫瘍DNA(ctDNA/cfDNA)と、日本で開発の進むマイクロRNA(miRNA)をマーカーとしたものが知られている。

その違いは、前者はがん細胞のアポトーシス(細胞自然死)に伴って血液中で検出され、がん患者での循環量が健常人よりも多いこと。これに対し、後者はがん細胞の発生初期から血液中を循環するため、より早期の診断が可能になるという点にある。

今回の研究では、死滅して血液中に流入したがん細胞DNAのメチル化グループの配列を検討した。

高い特異度と感度を示す

その結果、特異度(specificity)は99.3%と高く、擬陽性率(FPR)は0.7%であった。また、ステージが進むにつれ検出能が高まる傾向にあった。

事前に設定された12がん種 (肛門、膀胱、結腸・直腸、食道、頭頸部、肝臓/胆菅、肺、リンパ腫、卵巣、膵臓、形質細胞、胃)における感度(sensitivity)は、ステージⅠ~Ⅲで67.3%。各ステージ別では、ステージⅠ 39%, ステージⅡ 69%, ステージⅢ 83%, ステージⅣ 92%であったという。

また、全がん種における感度は、それぞれ18%, 43%, 81% , 93%であった

原発巣も検出

また研究にあたって、原発組織(原発巣)の部位(局在:tissue of origin localization)を検出(特定)するための分類器が開発された。がん様シグナルを持つ組織の96%で原発巣が予測でき、その正確性(度)は93%であったという。

研究者は「この検査法を用いたアプローチは、がんの幅広いレンジ(領域)で、どのステージにおいても視覚的に検出が可能であること。特異度、感受度ともに、一般の人口集団でのスクリーニングで必要されるレベルに達しており、早期がん検出を検討する臨床試験で重要な位置を占めるものである」としている。

がんの早期発見を目的とする血液検査の開発に関しては、これからもますます競争が激化しそうだ。

研究内容の詳細は、下記がん専門誌「Annals of Oncology」、および米ダナ・ファーバーがん研究所(ボストン)ニュースに掲載されている。

・「Annals of Oncology」
・米ダナ・ファーバーがん研究所ニュース

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