母乳育児と卵巣がんリスク低減に関連性

[2020.04.23] 文・編集●「がんサポート」編集部

母乳育児(授乳:breastfeeding)が、悪性度の高い漿液(しょうえき)性のサブタイプを含めた、卵巣がん(発症)リスクの有意な低減と関連しているとする研究が、先ごろ米国医師会誌「JAMA Oncology」に掲載された。

この知見は、妊娠とは独立した形で、母乳育児が卵巣がんの発症を低減させる要因となることを示唆している。これまで、卵巣がんと母乳育児の関連性については、賛否両論がある。

WHO(世界保健機関)では、出産後少なくとも6カ月間の母乳育児を推奨しているが、研究者は「我々の研究結果は、この推奨をサポートするものである」としている。

卵巣がん発症を24%低減

今回の研究では、卵巣がん協会コンソーシアム(Ovarian Cancer Association Consortium:OCAC)に登録された、13の症例コントロール試験における、卵巣がん患者の経産女性と対照群のプールデータを、1989年11月~2009年12月間に個々のサイトから収集し、2017年9月~2019年7月間に分析を施行。分析対象は、卵巣がん患者9,973例、対照群は13,843例と大規模なもの。

その結果、母乳育児が浸潤性卵巣がん発症を24%低減させていることが明らかになった。さらに、母乳育児はすべての浸潤性の卵巣がん、特に悪性度の高い漿液性および類内膜がんのリスク低減と関連していた。

母乳育児の期間に関しては、1~3カ月間では18%、12カ月間以上では34%の発症リスク低下がみられ、さらに、最後の授乳からの期間が短いほどリスクが低下していた。

メカニズム解明はまだ不十分

卵巣がんの発症リスクを低減させる生物学的なメカニズム(機序)は、まだ十分に解明されていない。現段階での有力な仮説として、授乳中の排卵抑制(ovulation suppression)が上皮細胞の分裂・増殖を阻害し、がんの発生または促進の機会を減らすことが挙げられている。

ただ、今回の研究では、母乳育児情報に関して自己申告の形を取っており、歪(ゆが)みをもたらしている可能性、さらに症例選択におけるバイアス、母乳育児に影響を与える個々の要因、未判明のリスク要因などは分析に含まれていない、などの問題点のあることを研究者らは指摘している。

出典情報:
JAMA Oncol. Published online April 2, 2020

※WHO(世界保健機関)関連
・Lactation (breastfeeding) and the risk of cancer
・How diet, nutrition and physical activity affect ovarian cancer risk

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