新型コロナウイルス感染症流行下におけるがん検診の受容性~つづけよう、がん検診~

[2020.12.03] 取材・文●「がんサポート」編集部

2020年11月末にメディアセミナー「緊急提言 新型コロナウイルス感染症流行下におけるがん検診の受容性~つづけよう、がん検診~」(主催:アストラゼネカ株式会社/後援:日本対がん協会、日本肺癌学会)が、都内でオンライン・オフライン同時開催された。

新型コロナ感染症拡大により医療の受診行動に大きな変化が

「新型コロナ感染症拡大により、世界各国でがん診療サービスが延期・中断し、患者さんの予後に影響することが懸念される」と、冒頭、主催者代表のアストラゼネカ株式会社の森田慎一郎オンコロジー事業本部事業本部長。

新型コロナ感染症拡大によって、日常生活のみならず医療の受診行動にも大きな変化がおこり、新たにがんと診断される患者数が減少する状況が各国で生まれている。

米国では6つのがん(乳房、大腸、肺、膵臓、胃、食道)で、新たに診断された患者数が46.4%減少し、今後1年間でおよそ3万4,000人を超えるがんによる死亡の増加が予想されるという。

また、英国では都市ロックダウンから10週間で、推定210万人のがん検診が延期され、がんの疑いのある患者さんの紹介受診が75%減少したと言及した。

日本でもがん検診者が大きく減少

次に日本対がん協会の小西宏グループマネジャーは、「新型コロナウイルス感染症 がん検診への影響調査(Ver.2)/実施:2020年8月」の結果から、2018年、2019年の1月から7月までの「がん検診受診者の月別推移」を見ても、2020年4月から7月までの減少幅は、大きなものとなっているとした。

また、2020年4月、新型コロナウイルス感染症拡大の対応を優先させるため、厚生労働省はがん検診の延期を要請。その結果、多くの自治体や企業でがん検診が中止された。

日本対がん協会の調査によると、国が推奨するがん検診(胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がん)を受けた人は、2020年3月以降大幅に減少し、1月から7月の累計は前年に比べて約55%の減少となっているという。

日本医科大学の弦間昭彦日本肺癌学会理事長は、とくに肺がんの中でも扁平上皮がん、腺がんにおいては、どのステージ(Ⅰ~Ⅳ)で発見されるかで、生存率が大きく異なる。検診の遅れによりステージⅣで見つかったとしたら、「いのちに関わる状況にもなりかねない」とした。

日本肺癌学会でも肺がん検診実施施設に向けた注意点について、3密を避け、マスク装着、手指および手指の触れた場所の消毒、十分な換気、職員の健康状態への注意、新型コロナ感染症の疑いのある方には受診を控えて頂くなど、感染対策への対応を図っているとし、「がん検診を控えている方、定期健診を遅らせている方は、できるだけ健診を受けましょう」と強調した。

落語家の三遊亭円楽さん、自らのがん体験を語る

2年ほど前に検診で、十二指腸腺腫が見つかり、経過観察をしていた。今年、夏休みも兼ねて人間ドッグで全身検査したところ、画像診断で肺に小さな影がみつかり、気管支内視鏡検査で生検。ステージⅠの肺がんと診断され、ダヴィンチで切除した。その後、術後化学療法を行い、再発はしたものの薬剤を変えて、今日に至っているという。

すべての病気は、「その病気と闘うこころ」が大切であると結んだ。

十二指腸腺腫:十二指腸の上皮性腫瘍は、十二指腸腺腫と十二指腸がんに分けられ、腺腫は良性病変だが、がんに進展する潜在性があり、がん研究会のデータでは20㎜以上の病変や、生検で高異型度腺腫と診断されたものは、進展リスクが高く、また、すでに腺腫内がんになっている可能性も高いことが示されている

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