「国際女性デー」の集いより ――HPVワクチン定期接種年齢の接種率の向上を

[2023.04.01] 取材・文●「がんサポート」編集部

国際女性デーの2023年3月8日、日本産婦人科医会会長の石渡勇さんは、厚生労働省内で会見し、「現在、海外では子宮頸がんの罹患率・死亡率は減少傾向にあるのに対し、先進国の日本では、死亡率が増加している。国内では年間、約1万人が新たに罹患し、約3,000人が死亡している。国内では昨年4月より子宮頸がん(HPV)ワクチンの積極的勧奨を再開したが、4~9月の初回接種率は30%程度。勧奨停止前の約80%の接種率にほど遠い状況だ」と問題視した。

9価HPVワクチン、日本でも今年4月から公費助成で接種可能に

昨年4月に再開されたHPVワクチン接種の積極的勧奨は、2価ワクチン(製品名サーバリックス)と4価ワクチン(製品名ガーダシル)のみだったが、今年4月より9価ワクチン(製品名シルガード9)が、公費助成により、小学6年生~高校1年生相当の女性に接種可能となる。

15歳未満の女性は「2回接種」も可能。2回接種の場合は、15歳の誕生日の前日までに1回目の接種を受け、最低でも6~12カ月の間隔をあけて2回目の接種になる。

一方、15、16歳の女性については、「3回接種」が必須。さらに5カ月未満の接種間隔で2価か4価ワクチンの2回目の接種を受けた方は、交互接種となるため、やはり3回の接種が必要となる。

9価HPVワクチン=9種類のタイプのヒトパピローマウイルス(HPV16、18、6、11、31、33、45、52、58)への感染を防ぐ

各HPVワクチンともそれ自体感染性、発がん性はない

今、国内で発売されている2価ワクチンは、HPV16、18型に、4価ワクチンは、16、18型と6、11型に対応している。6、11型は尖圭(せんけい)コンジローマ2の原因とされている。

各HPVワクチンとも、HPVの殻部分のL1タンパク質を発現させて作成し、HPVウイルスに似せた粒子を抗原にしているため、ワクチン自体には感染性や発がん性はない。

尖圭コンジローマ=性感染症の1つで、性行為によって感染し、感染後数週間から2、3カ月を経て性器周辺部にイボ状の小腫瘍が多発。尖圭コンジローマ自体は良性の腫瘍で、自然治癒することも多いが、HPV16、52、58、18型などに感染した女性の場合、子宮頸がんの発がん要因になることがあると考えられている

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