2024年11月
「手術の適応条件は、普通の手術とロボット手術とでは変わらないと思います。ロボットを使うことによって、手術痕が小さく、出血が少なく、より繊細で、乳頭近くをギリギリで血流を残して切除することができるため、手術の質が高くなります」と語る宇山さん「乳頭乳輪温存皮下乳腺全切除術は、画像検査の結果、乳頭乳輪まで病変が進展していない早期乳がんが適応となります」と喜島さん 前立腺がんに初めて導入された「ロボット支...
2024年11月
「欧州のガイドラインでも、2021年版からは遺伝子による分類が推奨されています。100年行われてきた見た目による分類から、遺伝子分類へと、脳腫瘍の診断方法が大きく変わることになったのです」と語る荒川芳輝さん 脳腫瘍の診断では、100年ほど前から腫瘍組織を観察して〝見た目〟で病気を分類していました。最近になって、遺伝子情報で脳腫瘍を分類する分子分類が診断に取り入れられるようになり、種類が多い脳腫瘍の...
2024年11月
「10年近くHER2しか層別化できるバイオマーカーなかったのですが、新たな治療薬が開発されたことにともない現在は4つのバイオマーカーが存在します。それを整理することが必要になったということが背景にあります。この4つのバイオマーカー検査で、患者さんに最適な治療薬を決定することができます」と語る桑田さん 2024年4月、日本胃癌学会は『切除不能進行・再発胃癌バイオマーカー検査の手引き』を作成し、8月に...
2024年10月
「かつては考えられないことでしたが、薬物療法でがんが大幅に減ったところで、肝動脈塞栓療法を行うことにより、がんがすべて消えた状態になるケースも現れています」と語る奥坂さん 肝炎治療薬の普及などでB型C型肝炎が減少し、肝細胞がんは減少傾向にありますが、脂肪肝など背景の違った肝細胞がんを発症するケースが増えています。進行がんの薬物療法では、免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬の併用である「テセントリ...
2024年9月
「20年以上もGC療法やGCb療法が第1選択だった進行性尿路上皮がんの療法が、オプジーボ+GC併用療法やパドセブ+キイトルーダ併用療法にまもなく変わるでしょう」と語る三浦さん 進行性尿路上皮がんの治療は長い間抗がん薬しかなく、2017年に免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダが承認されたのが大きなブレイクスルーと言われました。その後少しの停滞を経て、2021年に新薬が2つ承認されました。そしてここ...
2024年9月
「マンモグラフィを受けて、ご自身が高濃度乳房かどうか知ることが大切です。そのうえでエコーを受けるか判断しますが、もう1つ覚えておいて欲しいのは、血縁者に乳がんの人がいたらエコーも受けたほうがいいかもしれません。そして、ご自身が遺伝性乳がんの可能性がないかを専門医の先生に相談することをお勧めします」と語る植松さん 日本で2000年にマンモグラフィを導入した乳がん検診が始まってから、2024年の今年で...
2024年9月
「現在の標準治療は、1次治療か2次治療でCDK4/6阻害薬を使うことになっているので、トルカプは2次治療か3次治療で用いる薬ということになります」と語る上野さん かつてはホルモン療法薬の単剤療法が標準的な1次治療だったが、現在はCDK4/6阻害薬を併用するのが標準治療となっている。1次治療が新しくなったことで、エビデンスのある2次治療がない状態が続いていた。昨年、分子標的薬のトルカプとフェソロデッ...
2024年8月
「食道がんは〝酒飲みのがん〟と言われますが、実は日本の食道がん患者さんの7割はアセトアルデヒドを分解しづらい〝お酒に弱い人〟です」と話す横山顕さん 頭頸部がん、食道がん、胃がん、肝がんに加えて、大腸がんと乳がんも、アルコールが発がんリスクの1つであることが判明しています。しかも、大腸がんと乳がんは、たとえ微量でもアルコール摂取が始まった時点から発がんリスクが始まり、摂取量に比例して上がっていくとい...
2024年8月
「5年相対生存率の国の平均は8.5%ですが、尾道市では21.4%に上がっていますし、10年生存も出てきています。計算方法が違うので単純に比較しづらいのですが、全国や広島県の平均値と比べるとかなり改善しています」と語る花田敬士さん 膵がんは早期に発見することが難しいがんの1つですが、広島県尾道市では、病診連携による取り組みが膵がん早期発見に成果を上げていることで知られています。2007年にスタートし...
2024年8月
「高リスクの骨髄異形成症候群は白血病への移行を遅らせる治療。一方、低リスクでは白血病に移行する可能性は低いのですが、血球減少にどう対応していくかが重要になってきます。高リスクと低リスクでは、治療のアプローチがまったく違っているのです」と語る中島秀明さん 骨髄異形成症候群は予後(よご)予測を行い、高リスクと低リスクに分けて治療が進められます。高リスクには白血病への移行をできるだけ抑えるための治療が行...