全摘してれば転移もなかったのか

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2024年5月
更新:2024年5月

  

キャスターの小倉智明さんが2016年に膀胱がんが見つかり、主治医から膀胱全摘出を薦められたが、全摘出に踏み切れなく、2年間迷っているうちに肺に転移してしまったことを後悔しているとラジオなどで話しているのを聴きました。私もその立場に置かれたら迷ってしまうと思います。結果論ですが、小倉さんがそのとき膀胱全摘を決断していれば、肺への転移もなかったといえるのでしょうか。

(65歳 男性 東京都)

全摘したからといって再発転移を100%回避できたわけではない

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

一般的に根治的膀胱全摘除の対象となるのは、①転移のない筋層浸潤性膀胱がんと②BCG膀胱注入療法抵抗性の筋層非浸潤性膀胱がんです。
術後の転移再発のリスクは膀胱全摘除助の病理組織所見と強く関連します。すなわち、深達度(がんの浸潤の深さ)やリンパ節転移の有無、微小血管やリンパ管浸潤の有無などが術後転移再発のリスクと関連します。

術後の転移再発のリスクは①の場合で50%弱、②の場合で10%程度と報告されていますので、医師の提案のタイミングで手術を受けていたからといって転移再発を100%回避できたわけではないと思います。

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