骨髄移植後に移行再発。有効な治療法は?

回答者:秋山 秀樹
東京都立駒込病院 血液内科医長
発行:2007年10月
更新:2013年12月

  

1999年の夏、慢性骨髄性白血病と診断されました。幸い、弟の骨髄提供を受けることができました。完全寛解を得て、安定状態が続いていました。「治る可能性がある」と言われて、ごく普通の生活を送っていました。ところが、2006年10月に、移行再発と診断されて、グリベックを飲み始めました。染色体検査で、フィラデルフィア染色体の減少が確認されましたが、最近、再び、フィラデルフィア染色体が増加し始めたと言われました。医師にはグリべックの量を増やしたり、ドナーリンパ球輸注という治療法があると言われています。この治療法は有効なのでしょうか。また、このほかに治療法があったら教えてください。

(静岡県 男性 49歳)

A グリベックの増量やドナーリンパ球輸注などが考えられる

骨髄移植後に再発されたことは非常に残念に思います。現在、グリベック(一般名メシル酸イマチニブ)を使っていらっしゃるとのことですから、通常なら、かなりコントロールできるはずです。それでも、コントロールができない場合には、グリベックの量を増やすことが第1選択の治療法です。

そのほかの治療法としては、ご指摘のようなドナーリンパ球輸注があります。この治療法は、移植よりは簡単にできますし、治療効果は50パーセントほどだと思います。ただし、この治療では、GVHD(移植片対宿主病)という副作用が起こりえます。コントロールが難しい場合もあります。また、重篤になる場合も少なくありません。

もう1つ、インターフェロン療法もあります。インターフェロンを注射して、増加したフィラデルフィア染色体を持つ白血病細胞を消滅させる治療法です。

ドナーリンパ球輸注やインターフェロン療法でも反応が不十分な場合には、大変かもしれませんが、2回目の骨髄移植を考えてもよいかと思います。ご相談者は、49歳と若いですし、1回目の骨髄移植をしてからかなり年数がたっていますから、再移植は可能だと思います。

さらに、数年のうちに、グリベックと同じような作用機序を持つスプリセル(一般名ダサチニブ)とタシグナ(一般名ニロチニブ)という2つの薬が保険適用になる予定です。グリべックよりも強力に効くように設計された分子標的薬です。

2つの薬は、グリベックでは十分な効果が得られない、あるいは得られていた効果が消失してしまったときや、副作用のためにグリベックの使用を中止するとか、標準用量のグリベックの治療が行えず、十分な効果が得られない場合でも、良好な治療成績を上げています。近い将来、これらの薬が使える可能性も考慮して、治療選択をご相談していただければと思います。

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