グリオーマ手術後に再発。適切な治療法は

回答者:成田 善孝
国立がん研究センター中央病院 脳神経外科
発行:2005年7月
更新:2013年11月

  

痙攣の発作があり、検査を受けた結果、左前頭葉に5センチの神経膠腫(グリオーマ)が見つかりました。手術で腫瘍は摘出しました。切除した腫瘍の組織検査で、星細胞腫と乏突起膠腫の混在型でグレード2(グレード1から4まであり、一番進行の遅いのが1)ということがわかりました。手術後、後遺症もなく、療養してきましたが、最近、MRI(磁気共鳴画像診断装置)検査の結果、脳内に腫瘍が見つかり、担当の医師から放射線治療と化学療法を勧められています。この治療でよいのでしょうか。ガンマナイフは適応になりませんか。

(神奈川県 男性 52歳)

A 放射線化学療法が標準的治療

悪性脳腫瘍で最も多いグリオーマというのは、脳の神経細胞ではなく、神経細胞を支える星細胞や乏突起膠細胞が悪性化したものです。グリオーマは、星細胞腫系と乏突起膠腫系に大別されます。後者の乏突起膠腫系は、化学療法が比較的効きやすいという特徴があります。両者の混在型もよくみられます。

左前頭葉は言語に関わる場所です。そのため、腫瘍が広範囲に広がった場合、術後の後遺症を考慮して、腫瘍のすべてを摘出できないこともあります。グレード2のグリオーマは造影剤によって描出されないことが多く、腫瘍の広がりを判定することが困難なことがあります。術前や術直後のMRIと比べて画像に変化が見られた場合、再発と診断します。

グリオーマのグレード2の場合、腫瘍がゆっくりと周囲に浸潤しながら増殖していきますので、一般的に放射線治療と化学療法を併用して治療を行います。放射線治療はリニアック(超高エネルギーX線を発生させる装置)を用いて、毎日少しずつ外から腫瘍をターゲットに照射します。乏突起膠腫を含む混合型の腫瘍に対しては、ニトロソウレア系抗がん剤のニドラン(一般名ニムスチン=ACNU)とオンコビン(一般名ビンクリスチン)の併用療法を行います。

再発した場合にはナツラン(一般名プロカルバジン)を加えた3剤併用療法が有効です。最近は、切除した腫瘍の遺伝子を診断して、化学療法が有効かどうか、事前にわかるようになりつつあります。

ガンマナイフは、ガンマ線という放射線を局所に集中させて治療を行います。腫瘍の境界が比較的鮮明で、小さな良性腫瘍や転移性脳腫瘍などが治療対象です。残念ながら、グリオーマは浸潤性に発育するので適応になりません。

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