ホルモン療法か抗がん薬との併用療法を提示されているが

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2024年5月
更新:2024年5月

  

腰痛がひどく、昨年11月に近所の整形外科を受診。MRIで前立腺がんの骨転移が疑われると大学病院を紹介されました。前立腺左斜め半分に腫瘍が見つかり仙骨転移もあるステージⅣの前立腺がん、グリソンスコアは4+5の9で悪性度の高いものだと診断されました。

主治医からはデカレリクスなどのホルモン療法か、新規ホルモン薬ダロルタミドと抗がん薬ドセタキセルの併用療法を提示されていますが、どちらを選択したらいいでしょうか。

(56歳 男性 静岡県)

オリゴ転移であれば根治を目指す選択肢も

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

転移のある前立腺がんの患者さんに対する1次治療は近年大きく進歩しました。従来の男性ホルモン除去療法単独またはビカルタミド併用療法を対照とする治験で、コダックス(一般名デカレリスク)などの男性ホルモン除去療法+アーリーダ(同アパルタミド)、イクスタンジ(同エンザルタミド)、ザイティガ(同アビラテロン)などの新規ホルモン薬および男性ホルモン除去療法+ニュベクオ(同ダロルタミド)+ドセタキセルの3者併用療法の優位性が示されました。

しかしながら、男性ホルモン除去療法+新規ホルモン薬と3者併用療法の治療効果の違いについては比較検討されていないため、どの治療がベストであるのか確立されていません。そのため施設ごとの治療方針や主治医の判断で1次治療が選択されるのが現状です。1次治療で男性ホルモン除去療法にドセタキセルを追加する意義のある症例は転移病巣の数と量が多い症例でしたので、3者併用療法もこのようなケースでとくに有効性が期待できるのかもしれません。逆に転移病巣が2~3病巣程度(オリゴ転移)であれば、新規ホルモン薬を併用して全病巣に対して放射線治療などで根治(こんち)を目指す治療を考慮します。

相談者の場合、オリゴ転移であれば根治を目指す治療も選択肢の1つになり得ると思います。主治医とよく相談下さい。

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