早期の印環細胞がん。スキルス胃がんに変わるか
胃の入り口の噴門部近くに大きさ4センチほどの腫瘍が見つかりました。2カ月前に、開腹手術をしました。手術後の説明では、早期胃がんで、ステージは1A、SMがん、リンパ節転移はなく、胃は噴門を残して3分の2切除し、胆のうも切除しました。がん細胞は、印環細胞がんとのことです。退院後は、ダンピング症候群に苦しみながら、食事の仕方を工夫しています。印環細胞がんのことが気になります。印環細胞がんとスキルス胃がんとはどんな点が違うのでしょうか。私の場合、スキルスになることはあるのでしょうか。教えてください。
(福島県 女性 46歳)
A 早期胃がんは治る可能性が高い
消化器外科部長の山口俊晴さん
胃がんは、一般的には胃の壁に塊を作り、こぶのように盛り上がったり、その中央部に潰瘍を作ったりします。このように胃の中に凹凸を形成すると、レントゲンや内視鏡で発見することも比較的容易になります。
ところが、胃がんの中には胃の壁にしみこむように増殖し、一見正常のようで実はがんが胃の広い範囲に広がっているタイプのものがあります。このような胃がんをスキルス胃がんと呼んでいます。スキルスとは硬いという意味で、胃の壁が繊維化によって硬くなるのでこのような名前がつけられています。このスキルス胃がんは顕微鏡で見てみると、多くの場合未分化型といって、がん細胞が比較的ばらばらに増殖しています。印環細胞がんは未分化がんで、よく見られる、粘液ががん細胞の中にたまっているタイプの胃がんです。
胃がんには一方、分化型というタイプのものがありますが、顕微鏡で見ると細胞同士がくっつきあって、塊を作る傾向のあるもので、スキルスがんでは分化型のものはあまり見られません。未分化型がすべてスキルス胃がんになるわけではありません。胃がんの半分以上は未分化型ですが、その多くはスキルス胃がんではありません。
ご相談の方は、早期胃がんだったのですから、たとえ未分化がんであってもいわゆるスキルス胃がんではありません。 治る可能性が高いので心配はありません。