甲状腺乳頭がんが肺転移。治療法は?

回答者:杉谷 巌
がん研有明病院 頭頸科副部長
発行:2010年11月
更新:2013年10月

  

2年前、急に声がかすれるようになり、病院での検査の結果、甲状腺左葉に乳頭がんが見つかりました。腫瘍の大きさは2センチほどで、3センチ大のリンパ節転移もありました。甲状腺の右葉は残し、甲状腺左葉切除と頸部リンパ節郭清の手術を受けました。手術後、定期的に検査を受けていましたが、最近、肺転移の疑いがあると言われました。肺転移の場合、どのような治療が可能なのでしょうか。

(岐阜県 54歳 女性)

A 残りの甲状腺を全摘後、放射性ヨード治療

甲状腺乳頭がんには治りやすいものが多いのですが、一部に再発しやすく、生命の危険を伴うものがあり、高危険度群乳頭がんと呼ばれます。

声がかすれたということは、がんが甲状腺の外に浸潤して、甲状腺の後ろを走行する反回神経が麻痺していたと考えられます。甲状腺外への浸潤や大きなリンパ節転移を伴う乳頭がんは高危険度群乳頭がんと考えられ、一般的に、甲状腺全摘手術を行ったうえで、放射性ヨード治療を行うことが勧められます。

放射線ヨード治療は、肺などに転移があった場合、それを発見・治療できる可能性のある方法です。甲状腺が全摘されていないとできません。

甲状腺が半分残っているにもかかわらず、肺転移が見つかった場合、改めて残りの甲状腺を手術で取り除いたうえで、放射性ヨード治療を行うことになります。若い方でごく小さな肺転移であれば、放射性ヨード治療が効く可能性が高いですが、高齢の方ではあまり効果がない場合も少なくありません。

それでも、乳頭がんの肺転移の多くは進行が遅いので、10~20年、無症状に経過することも多いです。

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