2022年7月
「女性にとって乳頭乳輪は切実なもので、残すことを希望される人は多い。今回の予測モデルで科学的根拠を持って残せる、残さないほうがいいといった目安が示せた」と語る関 大仁さん 今日では、乳がんの手術と同時に乳房の再建も行う患者さんが多い。その場合、自分の乳頭乳輪を残したいと願うのは当然のことです。ところがこれまでは、乳頭乳輪の温存の可否は主に、マンモグラフィやエコーを用いて主観的に評価され、判断に迷う...
2022年7月
「慢性骨髄性白血病は薬の効果も重要ですが、同じくらい副作用の管理も重要です。長期服用になるので、胸水、脳梗塞や心筋梗塞、肝機能障害などの副作用をマネジメントしていく必要があるのです」と語る高久智生さん 慢性骨髄性白血病の治療は、20年ほど前、特効薬のグリベックが登場したことで大きく進歩した。慢性期に病気を発見して薬の服用を続けることで、コントロールできる病気となったのだ。5種類のチロシンキナーゼ阻...
2022年7月
「東北大学病院では、とくに2㎝以上のバレット食道に対しては細心の注意を払い、定期的な内視鏡検査を行っています」と語る小池智幸さん 日常的に胸やけや胃もたれを感じていませんか? それは、もしかしたら逆流性食道炎のサインかもしれません。胃酸の逆流によって起こるそうした症状は、QOL(生活の質)を落とすだけでなく、ときにバレット食道、さらには食道腺がんを引き起こす要因になりかねないことがわかっています。...
2022年6月
「分子標的薬治療のタイミングを逸しないために、組織検体を可能な限り早めに遺伝子検査に出すよう主治医と相談しておきましょう」と語る上野 誠さん 長きに渡って、ゲムシタビン、シスプラチン、S-1という3剤の抗がん薬しか治療法がなかった胆道がん薬物療法に、明るい兆しが見えてきた。2021年3月に承認された初の分子標的治療薬ペマジールが臨床に登場しておよそ1年。加えて、まだ臨床試験段階ではあるが、免疫チェ...
2022年6月
「同時期に同じコンセプトの試験が5つ計画され、すでに4つの結果はそれぞれ出ています。しかし、世界では日本のJCOG1017試験の結果を見て最終的な結論を出しましょう、となっています」と語る枝園(しえん)忠彦さん 従来の診療ガイドラインでは、ステージⅣ乳がんの原発巣は切除する意味がないとされてきた。しかし、切除によって生存期間が延長するという後ろ向き試験の結果があり、実臨床でも切除に積極的な施設と消...
2022年5月
「乳がんの手術は、デ・エスカレーションとエスカレーションの両方向に進むと考えられます。縮小としては、悪性度が低い、術前薬物療法でがんが消えたら手術を省略するという方向性があります。拡大に関しては、遺伝学的検査で新規発症リスクが高いとわかった場合、予防切除を行うことなどが考えられます」と語る津川さん 乳房温存手術では根治性と整容性の両立を目指す手術が行われるようになり、乳房切除手術では患者さんが希望...
2022年5月
「薬物療法が効いて腫瘍が縮小状態にあるタイミングで局所治療を行い、治癒を狙います。中期はもちろん、たとえ進行期でも、今後は免疫療法と局所治療をうまく組み合わせれば治癒も目指せるようになると思います」と語る工藤正俊さん ネクサバールが肝細胞がん薬物療法の標準治療になったのが2009年。その後、新薬も新しい治療法も登場しないまま9年が過ぎた。長い沈黙を破ったのが、2018年に登場した分子標的薬レンビマ...
2022年5月
「とくに肛門から5㎝以内、そのまま手術すると人工肛門になる確率の高い患者さんには、TNT療法とWatch&Waitという選択肢がある、ということをぜひ知って欲しい」と語る秋吉高志さん 進行下部直腸がんの術前化学放射線療法は、がんを縮小して手術できるため肛門を温存できる確率も高まり、術後の局所再発を抑えるとの評価は世界的に定着しています。近年、さらに術前化学放射線療法と、術後に行われていた全身化学療...
2022年3月
「原発不明がんは、どのように治療すべきかの特徴があります。一番重要なのは予後良好か予後不良な原発不明がんかを見分けて治療することです。また、必要な検査に費やす時間は1カ月が限度にすることも大事です」と語る中川和彦さん 転移巣があるが、原発巣が見つからない原発不明がん。多くは予後不良で、プラチナ併用療法が行われてきたが、実は原発不明がんの治療薬として承認された薬剤は存在しなかった。そうした状況の中、...
2022年3月
「0期の上皮内がんでも、がんは膵臓全体の環境を変えています。その結果、糖尿病や急性膵炎が起きてくる。〝膵臓は沈黙の臓器〟と言われますが、そんなことはないですよ」と語る菊山正隆さん 常に難治のイメージがつきまとう膵がん。その理由はいくつもあるが、早期発見が極めて困難で、発見時にはすでに転移しているケースがほとんどであることが理由の1つだろう。そもそも、膵管粘膜(上皮)から発生した膵がんが膵管壁を通り...