森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!
ゆるゆるセルフケア!(43)つま先立ち中腰のポーズ・片足前屈のポーズ・胸を開くポーズ
森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/
狭い場所でもヨガならできる
「後の世の教科書に、2011年3月11日、東日本に巨大地震と太字で書かれるようなすごいことを今私たちは、いま体験しているんですね」と友人が言っておりました。
地震後、TVは通常の番組の放送は一切やめ、どれほどの規模になるか予測もつかない被害の状況を刻々と伝え続けました。
津波が東北太平洋岸の集落を呑み込んでいく映像や、津波が去った後の実写とは思えないような映像から、目をそらすことができませんでした。
そして予断を許さない原発事故、放射性物質漏れ、計画停電。
気がつけばTVの画面をのめりこむように見続け、心も体も緊張しきっていました。
翌週から普段通りにヨガのセッションを行ったとき、被災地の人たちに比べれば蚊に刺されたようなものなのに、どれだけショックを受けていたか、どれほど張り詰めていたのか気づかされました。
そして避難所などに避難されている方々とヨガをシェアできたらなあと切望しました。
自分たちにできることの1つとして、参加費を義援金とさせていただく「チャリティYO GA」を始めました。
今回は畳1帖あれば余裕でできる3つのポーズを紹介します。わたしは旅行中にもよくやっています。
つま先立ち中腰のポーズ
このポーズは狭い場所で長時間過すときに起こりやすいエコノミークラス症候群の予防の決め手となります。ふくらはぎの筋肉をぐっと収縮させ、下肢から心臓に戻る血行を促してくれるのです。
なるべく水分を取って、トイレに立つ回数を減らさないようにし、トイレに立ったときは、このポーズを必ずやる、そんなふうに決めておくといいですね。
バランス力が求められるポーズなので壁を補助に使います。でも壁に体重を預けないようにしてください。
指先がつくかつかないかという状態で、ほとんど自立しているのが望ましいのです。もちろん壁なしで行えれば、それにこしたことはありません。
なにより足の甲が床に垂直になるくらいにかかとを十分に上げ、ふくらはぎを収縮させてください。
① 足は腰巾に開いて立ちます。両腕を前に伸ばしたら、このときはまだ壁には指先はまだつかないようにします。壁と指先の間には5センチくらい距離があるよ うに立ちましょう。軽く息を吐いてから、重心をつま先寄りに移動させながら、ゆっくりかかとを上げていきます。すると指先がかすかに壁につきます。このよ うにバランスを壁に補助してもらって、さらにかかとを十分に上げましょう。このままこの姿勢でできる楽な呼吸で10呼吸保ちます。
② かかとを上げたまま膝を前に曲げて重心を下げます。こうすると、5本の足指にしっかり体重が乗り、足指まで気持ちいいはずです。このまま10呼吸しましょう。
以上を2セット行います。
片足前屈のポーズ
先ほど収縮した足の裏の筋肉を今度はじわじわっと伸ばします。アキレス腱、ふくらはぎ、ひざ裏、もも裏、座骨周辺から腰部までじわーっと伸ばされ、お腹も温かくなってきます。肛門を軽く閉じて行います。
① 両足を前に伸ばして座り、左足を手前に引き寄せ、足裏を右脚もも内側に添わせます。右手で右足の親指をつかみ(手が届かない=できないとあきらめない。右膝を浮かせば届きます)、左手はその上に重ねましょう。このとき息を吸います。
② ゆっくり息を吐きながら上体を前傾させ、額を膝に近づけていきます。このとき、肛門を閉じると腰部まで延ばされる感覚が出てくるはずです。お腹も軽く引いて、そのまま楽な呼吸で10呼吸しましょう。
以上を左右交互に2回行います。
胸を開くポーズ
これはすごく気持ちがいいポーズです。前かがみになった気持ちにすーっと風が通る感じです。脊柱を反らすポーズの中でも、わかりやすく安全に行えます。
① 両足を投げ出して床に座り、両手を腰の後ろ20センチくらいにつきます。上半身を後方に少し傾けた姿勢がスタートです。
② 軽く息を吐いてから、ゆっくり息を吸いながら胸を反らし、顔を上方に向け、首から余分な力を抜きます。胸が開き、肩甲骨周辺もコリがほどけます。そのままふつうに10呼吸保ちましょう。ゆっくり戻して、もう1セット行いましょう。