2024年11月
「10年近くHER2しか層別化できるバイオマーカーなかったのですが、新たな治療薬が開発されたことにともない現在は4つのバイオマーカーが存在します。それを整理することが必要になったということが背景にあります。この4つのバイオマーカー検査で、患者さんに最適な治療薬を決定することができます」と語る桑田さん 2024年4月、日本胃癌学会は『切除不能進行・再発胃癌バイオマーカー検査の手引き』を作成し、8月に...
2024年2月
「MSI-Hか否かは予後や術後補助化学療法の成績、1次治療の免疫チェックポイント阻害薬の効果に大きく影響しますので、胃がんと診断されたらすぐ、MSI検査をすべきと考えます」と話す室さん 昨年(2023年)10月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2023)において、胃がん薬物療法の今後の方向性を示唆する試験結果がいくつか報告されました。免疫チェックポイント阻害薬を1次治療から追加する試験と新たな分子標的薬...
2023年11月
「アマテラス試験などのメタ解析から、毎日ビタミンDを服用することで、がんによる死亡を12%抑制できることがわかりました。世界中で毎年1,000万人ががんで命を落としています。ビタミンDを服用することで、がんの死亡を10%抑制できたら、毎年100万人の命を救えることになります」と語る浦島さん がんによる死亡を減らすと期待されているビタミンD。日本で行われたアマテラス試験を始め、世界中でいくつもの興味...
2023年4月
「近年の薬物療法の進歩に伴い、どのようなステージⅣの患者さんであっても、コンバージョン手術を行える可能性はあります」と語る久森重夫さん 手術できないステージⅣの進行胃がんでも、薬物療法が奏効することで、根治手術を行える可能性があります。そのようにして行われる手術を「コンバージョン手術」といいます。では、コンバージョン手術とはどのようなもので、その手術を受けた患者さんの長期成績は、どのようなものなの...
2022年1月
「今回1次治療に適応拡大されたオプジーボは、臨床試験の結果からバイオマーカーCPS5以上で積極推奨となっていますが、5未満でも状況に応じて使用可能となりました」と語る牧山明資さん 2021年11月、免疫チェックポイント阻害薬オプジーボが、治癒切除不能なHER2陰性の進行・再発胃がんに適応拡大された。3次治療以降ではすでに承認されていたが、それに1次治療も追加となった形だ。これを受けて12月、日本胃...
2021年9月
「当病院では、胃がんの96%がロボット支援下手術で、基本的にはすべての進行度の胃がん患者さんに対して行っています」と語る宇山一朗さん 今日のがん手術は、根治性と共に、身体負担の少ない低侵襲性が求められる。腹腔鏡や胸腔鏡による内視鏡下手術の普及は、それに大きく貢献してきた。さらに内視鏡下手術を進化させた「ロボット支援下内視鏡手術」、通称ロボット(ダヴィンチ)手術が登場。2012年の前立腺がんを皮切り...
2021年5月
「治療中、食欲がない、お腹がはって苦しいなどの気になる症状を、遠慮しないで医師や看護師に伝えてください。症状などから病状を類推し評価して、治療継続なのかそれとも治療を切りかえていくのか、適切なタイミングで判断することが大事なのです」と語る室 圭さん 20年来、変化の見られなかった胃がんの薬物療法(化学療法)が、ここ数年、進化を遂げている。1次治療から3次治療まで標準治療が確立し、新薬が数種類登場。...
2020年8月
「術前のグラスゴース予後スコアによる予後予測,手術合併症予測によって、より早期から支持栄養療法の介入を行ったり,術後合併症に備えた手術を行うなどの個別化治療を行うことができる可能性がある」と語る大島 貴さん 栄養状態の評価方法であるグラスゴー予後スコア(Glasgow Prognostic Score:GPS)は、非小細胞肺がんをはじめ、乳がんや腎細胞がんなどの予後予測因子であることが知られている...
2020年8月
「食道がんなのか、胃がんなのか、それとも全く違うがんとして治療する必要があるのか。長らくコンセンサスがなかった食道腺がんですが、今ではかなり整理されてきました」と話す石原 立さん 文字通り、食道と胃の境界、あるいは食道と胃をまたいで発生するがんを「食道胃接合部がん」と呼ぶ。耳慣れない病名だが、それもそのはずで、日本ではまだ稀ながんとされる。それでも「近年は徐々に患者さんが増えてきていると感じます」...
2020年8月
「胃がんは、まだ大腸がんのようにいろいろな薬剤が使えるという状況ではありませんが、進行再発胃がんでの臨床試験結果を参考に、新たな治療法を模索していくことになるでしょう」と述べる東風 貢さん 進行胃がんではあるが、手術可能なのがステージ(病期)Ⅲの胃がんだ。ただし、目に見えない微小転移による再発の可能性もあるため、術後補助化学療法は必須だ。その治療において、従来のS-1単独と新規のS-1+ドセタキセ...