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知って得するさまざまな制度(4) 障害年金

文:山田由里子 社会保険労務士
(2005年4月)

病気やケガが原因で障害が残り、就労が困難な場合などに支給されます。該当するはずなのに、受け取っていない人が多いので検討してみてください。

どんな制度か

病気やケガのために障害が残ったとき、寝たきりの状態になったときなど日常生活、就労の面などで困難が多くなった場合に本人に支給されるのが障害年金です。障害年金のうち、国民年金から支給されるものを「障害基礎年金」、厚生年金から支給されるものを「障害厚生年金」、公務員が加入する共済組合から支給されるものを「障害共済年金」といいます。

支給される条件

■障害年金受給のポイント
障害年金受給のポイント

障害年金をもらうためのポイントは、(1)障害のもととなった傷病の初診日が公的年金加入中または日本在住の65歳前にあること、(2)初診日から1年6カ月経過した日(障害認定日)に一定の障害状態にあること、(3)保険料をきちんと納めていること、の3つです。これらをすべて満たすと初診日に加入していた年金制度から、障害の状態(障害等級)に応じた年金を受けることができます。

現在、日本の公的年金は原則としてすべての国民の加入が義務付けられていますから、そのルールどおりに加入して保険料を納めている人であれば、65歳前に一定の障害状態になったときには、障害年金がもらえます。65歳以降に障害状態となっても障害年金をもらうことはできません。老齢年金は年をとった人のための年金ですが、障害年金は若い人のための年金なのです。

また、「初診日に加入していた制度によって支給される年金が決まる」という点は重要です。会社員時代に初診日があると障害基礎年金だけでなく障害厚生年金も支給されます。さらに障害基礎年金は障害等級が1、2級しかありませんが、障害厚生年金には3級や一時金もあり非常に有利になっています。

等級の基準

障害年金で一番やっかいなのは、どの程度の障害で障害等級に該当するかが分かりにくい点です。とくにがん患者の場合、人工肛門造設や咽頭部摘出など以外でも障害年金がもらえるケースがあることはあまり知られていません。

障害等級の1級は「他人の助けがないと日常生活ができない状態」、2級は「日常生活がかなり制限をうける状態」、3級は「働くことにかなり制限を受ける状態」となっています。初診日から1年6カ月を経過した日、またはその後状態が悪化したときに、たとえば、1人での外出が困難な状態が続いていて、それが一時的な状態でないときは障害等級に該当するケースも少なくありません

どのくらい支給されるか

障害基礎年金は定額で、1級の場合月額99万100/12=8万2508円、2級では79万2100/12=6万6008円が支給されます。扶養する子がいるときは、1人につき月額22万7900/12=1万8991円の加算がつきます(3人目からは7万5900/12=6325円)。

会社員または公務員のときに初診日があるときは、さらに障害厚生(共済)年金が上乗せされます。これは今までの給料の額や加入期間によって計算されるので人によって金額は違いますが、加入月数が300月(25年)ないときは、25年の加入があったものとして年金額を計算してもらえます。

申請窓口は初診日において加入していた制度に請求するため、会社員や会社員の妻(夫)は、社会保険事務所です。公務員は共済組合、国民年金加入者は市区町村役場が窓口になります。初診日から1年6カ月を経過していて全身状態の思わしくない人は一度相談してみてはいかがでしょうか。