非セミノーマでBEP療法。副作用は?

回答者・古賀文隆
都立駒込病院腎泌尿器外科部長
(2015年10月)

精巣を摘出し、非セミノーマで、後腹膜リンパ節に転移があり、ステージⅡ(II)aとの診断を受けました。これからBEP療法(ブレオ+エトポシド+シスプラチン)を受けるのですが、ネット検索をしてくれた友人から「一般的な抗がん薬よりも副作用が強く出るそうだ」と言われました。BEP療法の副作用にはどのようなものがあるのでしょうか。この治療法が終われば、根治の可能性が高いと考えてよいのでしょうか。

(58歳 男性 宮城県)

精巣がんには化学療法が有効 副作用は肺線維症に注意

都立駒込病院腎泌尿器外科部長
の古賀文隆さん

精巣腫瘍は、後腹膜リンパ節転移があってもBEP療法をはじめとする化学療法が有効なので、大部分の患者さんが治癒に至ります。予後はいいので安心して治療を受けてください。強い副作用があれば薬剤の減量や交替をします。BEP療法の副作用には、全身倦怠感、食欲不振、吐き気・嘔吐、口内炎、脱毛、骨髄抑制(白血球減少、血小板減少、貧血)など一般的な抗がん薬の副作用のほか、ブレオに特有の肺線維症があります。とくに肺線維症は命に関わる重篤な状態にも進行し得るので、定期的な肺機能検査によるチェックが必要です。

泌尿器がんの中で、精巣腫瘍の化学療法は強い薬の組み合わせと言えるかもしれません。しかし、副作用対策はできていますから、心配せずに受けていただきたいと思います。

BEP療法を3コース行った後、原則的に腫瘍マーカーの陰性化と残存腫瘍の消失(画像で1cm未満)が得られれば治癒とみなして、定期検診による経過観察に移ります。腫瘍マーカーの陰性化が得られなければ、抗がん薬を変えます。2次化学療法(VIP療法=エトポシド+イホスファミド+シスプラチン)を行い、マーカーの陰転化を目指します。腫瘍マーカーが陰性化したものの、画像で1cm以上の残存腫瘍がある場合は、後腹膜リンパ節郭清による残存腫瘍摘出が必要となります。

精巣腫瘍は、化学療法がよく効くのでステージⅡ(II)aであっても大部分が治癒します。

ブレオ=一般名ブレオマイシン エトポシド=商品名ラステット/ベプシド シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ イホスファミド=商品名イホマイド