1. ホーム  > 
  2. 各種がん  > 
  3. 血液がん  > 
  4. 白血病
 

白血病とは:治療~現状~診断

監修:谷口修一 虎の門病院血液科部長
取材・文:松沢実 医療ジャーナリスト
監修:大野竜三 愛知県がんセンター総長
取材・文:祢津加奈子 医療ジャーナリスト
発行:2005年3月
更新:2014年1月

【診断】白血病の診断

白血病の疑いがある場合は、まず血液検査が行われます。これによって、白血球の数やどのタイプの白血球が増加しているかをみます。慢性骨髄性白血病では、好中球がとくに増加しています。さらに、確定診断のためには、骨髄穿刺を行います。腸骨(腰の骨)や胸骨に針を刺して骨髄液を吸引し、白血病細胞の有無をみます。白血病細胞があれば、遺伝子や染色体の診断、あるいはマーカーの検査を行い、その種類や性格を調べます。



qa_01.jpg

回答者:秋山秀樹さん
東京都立駒込病院内科医長



qa_02.jpg

回答者:西村美樹さん
千葉大学付属病院血液内科科長

Q:妊娠時の血液検査でATLプラスと言われたが……

妊娠3カ月に入り、血液検査でATL(成人T細胞白血病)がプラスと言われました。検診の際にはあまり意味がわからずに話を聞いて帰ったのですが、白血病を発症することもあると知り、不安を感じています。担当医からは「母乳は避けたほうがよい」といわれましたが、生後6カ月までは免疫があるとのことで大丈夫との話も聞きます。ATLプラスということについて、教えてください。

(鹿児島県:31歳 女性)

A:発病はあまり心配ない。母子間の感染には注意が必要

ATLは日本で発見された病気で、九州・沖縄に集中しているのが特徴です。ATLウイルスの感染者(キャリア)は全国で120万人と推定されていますが、年間の発症率は感染者1000人に1人ほどで、しかもすぐに発病するわけでもありません。ですから、すぐの発症については、あまり不安を抱くことはないと思います。

ATLに感染したお母さんの母乳中にはウイルスが存在し、この母乳を赤ちゃんに飲ませると感染することが証明されています。母乳哺育をすると、約20パーセントの頻度でお子さんにATLが感染します。さらに、感染したお子さんが将来、ATLを発病する頻度は5パーセント、20分の1ほ��です。担当医のおっしゃるように、母乳で育てることは避けたほうがよいと思います。ただし、母乳をやめて人工栄養で育てても感染の危険がゼロになるわけではありませんので、注意が必要です。

また、赤ちゃんは6カ月までは免疫があるため大丈夫という話は、ATLの場合には当てはまりません。赤ちゃんの免疫はお母さんの体から入った免疫で維持されています。お母さんがATLに免疫がないということは赤ちゃんにも免疫はないということです。もう1つ、ATLウイルスは、歯ブラシ、クシ、タオル、カミソリなどから感染することはないと考えられますから、日常生活ではあまり神経質にならないようにしてください。

(2005年05月号 がん相談/白血病 回答者:秋山秀樹さん 東京都立駒込病院内科医長)

Q:ATLがプラスの場合の予防・治療法は?

かなり以前ですが、血液検査でATL(成人T細胞白血病)がプラスと診断されたことがあります。「白血病になることもあります」との説明を受けたように記憶しています。そのときはあまり深刻には受けとめず、子育てに追われる毎日を過ごしてきました。最近は、白血病の医療の進歩が著しいと聞いています。すでに、この治療法や予防法は確立されているのでしょうか。今後、どんな備えをしたらよいのでしょうか。

(沖縄県:53歳 女性)

A:発症率は高くない。治療は化学療法やミニ移植など

ATLプラスというのはHTLV-1(成人T細胞白血病ウイルスタイプ1)の抗体価が陽性(抗体の強さが基準値以上)のことだと思われます。抗体価が陽性のキャリアとよばれる方は国内に約100万人、年間40歳以上のキャリアの方の1000人に1人がATLを発症するといわれています。この数字をどうとらえるかですが、高い数値ではないというのが一般的な考え方です。今までどおりの生活を送っていただきたいと思います。

HTLV-1の感染を予防する方法は確立していますが、いったん感染された方がATLを発症することを予防する方法はありません。また、治療は抗がん剤を組み合わせた化学療法ですが、治癒することはごくわずかです。最近は造血幹細胞移植、50歳を超えた方でもミニ移植によってこの病気を治そうという臨床研究が行われています。

今後についてですが、まずは定期的に通院する病院を探し、これからもっと報告されるであろう臨床研究の結果の情報を担当の先生と一緒に吟味して、ご自分に適した治療方法をいくつか考えておき、万が一発症された場合に備えるとよいのではないでしょうか。

(2006年05月号 がん相談/白血病 回答者:西村美樹さん 千葉大学付属病院血液内科科長)

同じカテゴリーの最新記事