2024年9月
「現在の標準治療は、1次治療か2次治療でCDK4/6阻害薬を使うことになっているので、トルカプは2次治療か3次治療で用いる薬ということになります」と語る上野さん かつてはホルモン療法薬の単剤療法が標準的な1次治療だったが、現在はCDK4/6阻害薬を併用するのが標準治療となっている。1次治療が新しくなったことで、エビデンスのある2次治療がない状態が続いていた。昨年、分子標的薬のトルカプとフェソロデッ...
2024年5月
「サブタイプによって全く治療法が違うので、少なくともご自分の乳がんのサブタイプがなんであるか知っておくことが大切です」と德留さん 乳がんは、女性の罹患者数が最も多いがんですが、新薬などにより治療成績が向上しています。しかし、再発・転移は根治が難しいのですが、今年(2024年)3月には、ルミナルタイプの再発・転移乳がんに新薬が承認されましたし、トリプルネガティブにも現在承認待ちの新薬が控えています。...
2023年11月
「SONIA試験の結果は1次治療からCDK4/6阻害薬を使わなくてもうまく行く可能性はあるということを保証してくれるデータではありますが、全例で最初から使うのをやめましょうとはなりません」と語る髙田さん ホルモン受容体(ER)陽性HER2陰性の進行・再発乳がんで、現在1次治療で標準治療となっているCDK4/6阻害薬を、1次治療で使用するか2次治療で使用するか比較した「SONIA試験」。その結果は、...
2023年1月
「今後どのように実臨床の場で利用していくかはこれからの課題ですが、将来は外来診療の補助としてアプリを使ってもらうなど、この成果を生かしたいですね」と語る明智龍男さん がん種にかかわらず、がん患者さんの多くは治療が終わっても、大なり小なり再発や転移の恐怖を抱えて日常生活を送っていることはよく知られています。とくに乳がん患者さんは、10年生存率は90%と予後はいいものの、10年以上経っても再発すること...
2021年11月
「SALSA試験の内容は信用に足るもので、最近は当院でも7年で止めるよう指示をしています」と語る中村清吾さん 閉経後の乳がん患者さんが術後に投与されるホルモン療法薬のアロマターゼ阻害薬。再発予防効果が期待される一方、副作用との兼ね合いで、何年が最適な服用期間なのか、エビデンスが待たれていた。そんな中、長期投与群(10年)と短期投与群(7年)を比較したSALSA試験報告がNEJM誌(ザ・ニューイング...
2021年8月
「これまでは同じ推奨度だった3つの治療法が、より明確にCDK4/6阻害薬とアロマターゼ阻害薬の併用療法が推奨されました」と原 文堅さん 『乳癌診療ガイドライン』(2018年刊行)は、新薬の登場などに合わせ、Web版の改訂が行われてきた。約1年前の2020年8月には、Ver.4のWeb版改訂が行われ、閉経後のHR(ホルモン受容体)陽性転移・再発乳がんに対する治療の推奨の強さなどが新しくなった。推奨さ...
2019年9月
「これまでの後ろ向き研究ではバイアスが強くかかっています。ですから前向きの比較試験を行なって検証すべきだと考え、『JCOG1017』を計画しました」と語る岩田広治さん 「原発巣手術はHER2陽性ステージIV乳がん患者の生存率の44%上昇に関連しており、切除手術を検討すべき」との後ろ向きコホート研究結果が、今年(2019年)3月に開催された米国癌学会年次総会(AACR2019)で発表された。日本では...
2018年8月
「アバスチンは、シグナル分子VEGFを捕獲することで、血管新生阻害だけでなく、免疫機能アップに関与していると考えられます」と語る高橋俊二さん 現在、化学療法との併用で使われることがほとんどのアバスチンは、分子標的薬の中では少々、特殊な存在かもしれない。がん細胞に直接作用するのではなく、がん細胞を巡る環境に働きかけるアバスチンのメカニズム(作用機序)と今後の可能性に焦点を当ててみた。 アバスチンとは...
2018年6月
「ベージニオはセカンドラインより後のラインでも併用で使えるかもしれないなど、さまざまな可能性が考えられます」と語る向井博文さん 2017年3月に米国食品医薬品局より正式承認され、同年12月には日本でも販売開始となったCDK4/6阻害薬イブランス。これにすぐ続く形で、同系統のベージニオが昨年9月と今年2月に米国食品医薬品局によって承認された。秋には日本での承認もほぼ確実視されている。ホルモン療法との...
2018年6月
「背骨や腰など体のどこかに痛みが出たときは、まず乳腺外科を受診しましょう」と語る中村さん 術後10年以上経っても、再発の不安から逃れられない乳がん。しかし、ホルモン療法のメカニズムを知り、その理由と傾向がわかれば、何に注意して日々を過ごしたらよいかが見えてくる。過剰な心配は必要ない。万が一、再発したとしても、新薬も年々増え、治療法の選択肢も広がっている。大切なのは、知ること。そして、不安を捨てて楽...