2012年12月
2011年3月11日、日本を襲った東日本大震災。未曽有の大災害のなか、末期がんを患った医師の高橋亨平さんは故郷を守るため残り、地元の人たちの治療を続けている。彼は一体、何を遺すために闘い続けているのだろうか?末期がんを患いながらも地域医療を守る高橋さんが治療を行っている原町中央産婦人科病院「亨平先生は、まだ入院中じゃなかったかなぁ」通りすがりの男性に、病院までの道順を訊ねると、その医師への親しみの...
2012年11月
ニュートリノの研究者として、最もノーベル賞に近い科学者の1人だった戸塚洋二さん。がんを患いながらも自身を観察し、最期のときまで、科学者である姿勢を崩さなかった。ノーベル賞に最も近かった物理学者宇宙の起源はどんなものなのか――。物質はどのように成り立っているのか――。科学好きでなくても、多くの人が抱く素朴な疑問だ。と、同時にこれらは人類にとって、もっとも本質的かつ根源的な謎でもある。その謎を解く手が...
2012年10月
いわさきちひろさん(絵本画家)享年55没後30数年を過ぎた現在でも多くの人を惹きつけるいわさきちひろさんの作品。彼女はどう生き、何を遺したのだろうか。静かな「ちひろブーム」が2012年7月──。東京練馬区の住宅街の一角にあるその美術館は、夏休みということもあり、子ども連れの親子でたいへんな賑わいを見せていた。館内にはあどけない子どもたちを描いた作品群が展示されている。誰もが...
2012年9月
吉永正人さん (騎手・調教師) 享年64 「吉永スペシャル」と呼ばれる独自の騎乗スタイルで多くの人たちを魅了し続けた3冠ジョッキーの吉永正人さんは、ジョッキー引退後、そして生の終わる瞬間まで競馬人として生き続けた──。 最期までジョッキーであり続ける 「吉永さんは多くの騎手に愛された人でした」と語る調教師の小島太さん かつて競馬の世界で豪胆かつ奔放なレース運びで「勝...
2012年8月
山本夏彦さん (コラムニスト・編集者) 享年87 飽くなき好奇心を持ち、世間を見物し、"夏彦節" ともいわれる独自の視点で浮世を笑ってきた名コラムニストの山本夏彦さん。最期の時もその姿勢は決して揺るがなかった──。 死後に残された50冊の手帳 生前、「人の一生はせいぜい手帳50冊」だと語った山本夏彦さん。自身は50冊以上の手帳を遺した ─...
2012年7月
野沢那智さん (声優・パーソナリティー・演出家) 享年72 声優という職業を確立した野沢那智さん。その活動のバックボーンには演劇活動があった。妥協なき演技指導で彼は一体、何を遺していったのか──。 生涯をかけて演劇に向かい合う 野沢那智さんの演技指導があったから今の自分がいると語る、菅谷勇さん 野沢那智さんの意志を継ぎ、パフォーミング・アート・センター...
2012年6月
デイブ平尾さん (歌手) 享年63 日本の音楽シーンの礎を築いたバンド・ゴールデンカップスのヴォーカル、デイブ平尾さん。華々しいその世界の中で、デイブさんはどう生き、何を遺したのか──。 デイブ平尾さんを「兄貴のような存在」と慕ったミッキー吉野さん 日本の音楽界屈指のキーボードプレーヤー、ミッキー吉野さんにとって、その知らせは青天の霹靂だった。 「術後の経過は順調で、あと2、3日すれば面...
2012年5月
青島幸男さん (作家・タレント・政治家) 享年74 放送作家、タレント、作詞家、俳優、映画監督、小説家、政治家……。そのたった1つの人生の中に、いくつもの花を咲かせた超マルチ人間・青島幸男さん。青島さんは、その人生をどのように駆けぬけていったのか──。 ぜにのないやつぁ俺んとこへこい俺もないけど心配すんな……。 軽妙なユーモアと底抜けの明るさを持つこの詞は、ハナ肇とクレージ...
2012年4月
手塚治虫さん (マンガ家) 享年60 天才・手塚治虫さんのマンガは戦後から立ち上がる日本の子供たちにメッセージを送り続け、そのメッセージは、今もなお生き続けている。手塚さんが作品に吹き込んだ息吹とは──。 埼玉県新座市にある手塚プロダクション4階のアトリエは、かつて多くの人たちの胸を躍らせた名作マンガの最後の制作現場だった。部屋の主が目を近づけて作業するため、脚の下に台座を敷いて高くしたデスク、...
2012年2月
中島梓・栗本薫さん (評論家・作家) 享年56 自らが、自らであり続けるために、人生を最期のときまで表現し続けた──。人々を魅了し続けてきた人気作家・中島梓・栗本薫さん。その人生は物語さながら、いくつもの世界が広がるものだった。 ──心の中のどこかに、小さな小さな村があって、そこにはいつも何か面白いことを考えている少女やしっかりした大人の人、ピアノを弾く人、吝嗇な人など...