皮膚T細胞リンパ腫の新治療薬 タルグレチン(一般名ベキサロテン)
2016年9月
慶應義塾大学病院皮膚科専任講師/病棟医長の舩越 健さん 皮膚リンパ腫は、悪性リンパ腫の1つで、通常の皮膚がんとは区別され、皮膚組織の中のリンパ球ががん化したものです。その1つである「皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)」は発症数が少なく、年間の新規患者数は10万人あたり0.4人ほどです。皮膚T細胞リンパ腫の代表的な疾患である菌状息肉症に対する全身療法として、これまでレチノイド系薬剤のチガソンを光線療法と...
がんの薬事典
2016年9月
慶應義塾大学病院皮膚科専任講師/病棟医長の舩越 健さん 皮膚リンパ腫は、悪性リンパ腫の1つで、通常の皮膚がんとは区別され、皮膚組織の中のリンパ球ががん化したものです。その1つである「皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)」は発症数が少なく、年間の新規患者数は10万人あたり0.4人ほどです。皮膚T細胞リンパ腫の代表的な疾患である菌状息肉症に対する全身療法として、これまでレチノイド系薬剤のチガソンを光線療法と...
2016年7月
EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する治療では、EGFR-TKI(EGFRチロシンキナーゼ阻害薬)が用いられます。第1世代薬のイレッサとタルセバ、第2世代薬のジオトリフがありますが、いずれ耐性ができ、薬が効かなくなってしまいます。2016年2月、第3世代薬のタグリッソが認可されました。この薬は、イレッサ、タルセバ、ジオトリフなどに耐性が生じた非小細胞肺がんに対する有効性が証明...
2016年6月
前立腺がんは骨転移を起こしやすく、ホルモン療法が効かなくなった患者さんの8~9割は骨転移を起こしています。その治療に、従来はランマーク、ゾメタ、メタストロンといった薬剤が使われてきましたが、今年(2016年)3月、新しい薬剤が承認されました。それがゾーフィゴです。これまでの3剤と大きく異なるのは、痛みや骨折といった骨関連事象(SRE)を抑えるだけでなく、生存期間を延ばす効果が証明されている点です。...
2016年5月
GIST(消化管間質腫瘍)の治療は、手術による切除が第1選択です。発見されにくい腫瘍であるため、切除できない状態で治療を開始する場合も少なくありませんが、2003年に承認された治療薬グリベックは奏効率が8割近く、万一耐性ができても、第2、第3の選択薬が2剤あり、GIST患者の生存期間を延ばしています。 GIST(消化管間質腫瘍)の治療 GISTは、消化管にできる悪性腫瘍です。ただし、胃がんや大腸が...
2016年4月
高齢者に多く、進行が緩やかで、早期発見されることも多い慢性リンパ性白血病(CLL)。早期は経過観察が標準治療ですが、病気が「活動性徴候」を示したら治療を開始します。このとき、「通常量多剤併用療法可能」と判断された場合は、FCR療法が標準治療になっています。また、再発・難治例に対しては、2013年にアーゼラが、2014年にはマブキャンパスが、保険で使えるようになりました。 慢性リンパ性白血病(CLL...
2016年3月
悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)は、悪性腫瘍全体の1%、国内での患者数は5,000~6,000人ほどの希少がんです。これまで、アドリアシンとイホマイドが治療の中心でしたが、ここ数年で新薬が保険で認められるようになりました。悪性軟部腫瘍の治療における、新薬の位置づけ、従来の薬剤との違いについて、さらに、全身の様々な部位に生じるという、肉腫に特徴的な病態の中で、新薬を安全に効果的に使用するためのポイントを紹介...
2016年2月
神経膠腫の中でも悪性度の高いグレード3と4を、悪性神経膠腫と呼びます。中でも治療が難しいのは、グレード4の膠芽腫です。悪性神経膠腫の初発治療は、手術に、放射線治療とテモダールによる治療を組み合わせます。グレード4に対しては、日本ではアバスチンを併用することもできます。アバスチンを加えることで、再発までの期間が長くなります。 悪性神経膠腫の治療 悪性神経膠腫は悪性脳腫瘍の代表的な病気で、脳に発生する...
2016年1月
現在、日本膵臓学会の「科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン」では、遠隔転移のある膵がんに対する最初の化学療法として、FOLFIRINOX療法とアブラキサン+ジェムザール併用療法の2つを推奨しています。ただ、どちらを選択すべきかについては明らかにされていません。手術ができない膵がんの治療をどのように考えるか、2つの治療法の特徴から考えてみましょう。 切除不能膵がんの治療 膵がんの治療は、手術による...
2015年12月
「ホルモン受容体陽性(ER+)乳がん」とは、女性ホルモンのエストロゲンの刺激によって増殖する乳がんのことです。「ホルモン感受性乳がん」や「ホルモン依存性乳がん」などとも呼ばれます。閉経前のホルモン受容体陽性乳がんは、ノルバデックスの5年間投与が標準治療ですが、リスクによって抗がん薬やLH-RHアゴニスト(作動薬)の併用も可能とされています。併用するべき条件とは何か、そして新たな治療の選択肢について...
2015年11月
悪性リンパ腫にはいろいろな種類がありますが、日本人に多い「びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)」に対しては、リツキサンの登場で治療成績が大幅に向上したR-CHOP療法が標準治療となっています。同じB細胞性のリンパ腫である「マントル細胞リンパ腫(MCL)」には、VR-CAP療法という新たな治療法が登場してきました。自家移植の対象とならないマントル細胞リンパ腫に、優れた治療効果を発揮します。...