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若年性でも予後は悪くない 的確な治療選択で将来を考える

監修●梶浦由香 聖路加国際病院乳腺外科
取材・文●西条 泰
発行:2014年3月
更新:2014年6月

定期的な検診が重要

その背景には、そもそも若い人の乳房のしこりには良性のものが比較的多いということが挙げられる。

「若年者によくみられる良性腫瘍は線維腺腫が多いですが、ご本人がしこりに気づいて医療機関を訪れても良性と判断されて、触診や画像検査だけで経過観察となるケースが少なくありません。経過観察中に、さらに大きくなって、いざ細胞組織を取って検査してみると症状が進んでしまっていたという場合があります。

早期の発見には、定期的な検診と医師とのコミュニケーションが重要といえるでしょう」

遺伝性への配慮

最近、注目を集めている乳がんのリスクとなる遺伝子については、どうなのだろうか。

「乳がんのリスク遺伝子はBRCAというものが主で、この遺伝子は乳がんと卵巣がんを引き起こすことがあります。

若い女性患者さんに対しては、将来の乳がんの再発リスクや卵巣がんの可能性を考慮して、遺伝性乳がん・卵巣がんに関するカウンセリングをより積極的に勧めています。

聖路加国際病院には遺伝診療部があり、希望される患者さんには遺伝子異常の有無を確認する検査も行っています。将来の再発・発がんのリスクを患者さんとそのご家族に認識して頂き、治療法や検診方法を考慮する一助になることが主目的です。たとえば、遺伝子異常があれば、本来なら乳房温存手術が可能な状況でもリスクに備えて、あえて全摘手術をするケースもあります」

と梶浦さんは言う。

整容性・妊娠・家庭…… 様々な要素を考えて

若年性の乳がんが高齢者よりも悪質ということはない、という新たな事実は朗報だが、罹患者が若いゆえに考えなければならないこともあるだろう。梶浦さんは、

「とくに整容性、結婚・妊娠、家庭(子育て)のことは、患者さんにとって切実な問題といえるでしょう。

整容性については、乳房再建を望む患者さんが多いです。人工乳房は保険適用の製品がまだ限られていますので、条件を検討した上でご本人に選択していただくのが望ましいと考えます。ご自身の組織を用いた自家組織再建についても、選択肢として提示すべきです。

妊娠については、化学療法後に排卵がなくなるリスクもありますので、当病院では女性総合診療部と連携して卵子の凍結保存(パートナーのいる方は受精卵として)など妊孕性保持の対応を検討します。

乳がんに罹ったことが、結婚や妊娠の障害とならないよう、私たちも全力で支援していきたいと考えています。

さらに、子育て中の患者さんでは、本人だけでなくお子さんへのケアを必要とする場合があります。「お母さんが病気」というシチュエーションが、小さな子供に与えるストレ���は、大人が想像する以上のものがあるでしょう。

当院には“チャイルド・ライフ・スペシャリスト”という米国などで資格を取得した専門の職員が常駐、病気になった子供や両親が病気になった子供のケアをします。がんになったことを、小さな子供にどう伝えるか。子供が母親の病気という事実をどう捉え、受容していくかといった細やかなケアに加え、母親・父親の側も、子供の気持ちにどう対応するのかなどの相談に乗っています。

がんが不治の病といわれたのも、今は昔のこと。今やがんは、治る病気になってきました。喜ばしいことであると同時に、その瞬間の治療というだけではなく、その後の人生についても長い目で見ることが必要だと思います。そのためにも、ライフプランに沿った治療の選択、そして数々のサポートが欠かせないといえるでしょう」と締めた。

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