乳がん手術後の暮らしとバストケア PART-2

監修・アドバイス:福田 護 聖マリアンナ医科大学外科教授
取材協力:乳がん患者会 虹の会 新樹の会
取材・文:池内加寿子
発行:2004年8月
更新:2013年8月

バストサイズや重さに合わせて、補正グッズの素材を選ぶのがコツ

手術後、専用のパットやブラを購入するときは、乳房の変形部分をカバーしながら、反対側の乳房の重さや形とバランスがとれるもの、ワイヤーやホックなどが傷にあたらないものを選ぶのがポイントです。

パットの選び方

写真:ブレストフォーム(人工乳房)

裏側が粘着式のシリコンで、接着剤等なしで肌にピタッと貼りつくブレストフォーム(人工乳房)。スポーツをするときもブラの中でずれたりせず、体の一部のよう。サイズは10種類。トリアコンタクト 47,250円(コロプラスト)左:表側/右:裏側

「乳房が大きくがっちりした体型の人は、存在感のあるシリコンなどの重目のパットのほうがバランスがとれるようです。あまり軽いパットだと、歩くときにバランスが崩れたり、パットの位置がずれ上がったりすることがあります。きゃしゃな体格で乳房もこぶりな方は、ウレタン製などの軽いものを好まれますね」(福田さん)

一般にシリコン製のパットは重めで、価格も高め。乳房の感触や重さにより近づける工夫がこらされ、ブレストフォーム、プロテーゼ(人工乳房)とも呼ばれています。パットはブラの裏のポケットに入れて使うのが普通ですが、肌に直接吸着するもの(写真)や、本物とみまがう人工乳房(前ページ)もあります。

ウレタンフォーム製のパットは軽目で、価格も手頃。ウレタンとシリコンジェルを組み合わせて適度な重さにしたものも。

外出時は、左右のバランスのとれる重さのパット、自宅でくつろぐときには、Tシャツ素材のブラやブラつきタンクトップに、スポンジ感覚の軽いパッドか手作りパットを入れるなど、TPOに合わせて使い分けるとよいでしょう。

メーカーによって、各種のパットをそろえているところ、輸入品のシリコンパットのみを扱うところなどそれぞれに特色があります。カタログに重さの目安を表示しているメーカーも。

ブラの選び方

専用のブラには、カップ裏にパットを入れる大きなポケットがついています。ストラップが太めで肩に負担がかからないもの、肌にやさしい素材、前開きタイプ、ソフトなワイヤー入り、ワイヤーを外側につけたものなど工夫もいろいろ。

「アンダーバストやサイドのラインに切開線を入れることもあるので、術後や放射線治療中はワイヤーがあたらないもののほうがよいでしょう」(福田さん)

前開きタイプのブラを買うときは、胸の中央部の傷にあたって痛くないか確認してください。

パットやブラは、できればショールームや、出張販売される機会に試着して、質感やフィット感を確かめてから買うのがベストです。初���は試着を原則にしているメーカーもあります。

手持ちのブラも活用

手持ちのブラに手作りパットや、市販のパット、水着用パットを2、3枚重ねて入れている方も多いようです。カップのワイヤーを抜いたり、カップ裏にパットが入るポケットを縫いつけてリフォームするのもアイデアです(イラスト参照)。

手持ちのブラの簡単リフォーム
☆カンタンパットの作り方
イラスト:カンタンパットの作り方

(1) 水着売り場や下着売り場で市販されているパットの中に、好みの重さのビーズをガーゼの袋に入れたものとコットンかストッキングを詰める。
(2) シート状のコットンを円形に2枚カットして包み、ボリュームを調節する。
(3) Tシャツの布などでカバーして縫い合わせる。市販のパットカバーをかぶせて代用しても。
☆ブラにパット用ポケットを
イラスト:ブラにパット用ポケットを

Tシャツなどの布をカップ裏に縫いつけ、ミニスナップをつける。市販のパット用カバーを縫いつけてもOK。

☆肩パットで鎖骨下をカバー
イラスト:肩パットで鎖骨下をカバー

市販の肩パットでストラップをくるむか、カットして縫い付ける。脇の下の補整にも肩パットが便利。(アイデア提供/ワコール)

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