乳がん手術後の暮らしとバストケア PART-2
手術の方法別 ――ブラとパットの選び方
[ハルステッド法]

胸筋を含めて切除するハルステッド手術例。胸の上部と脇の下のくぼみをカバーできる補正下着や服を選ぶとよい
20年ほど前には全盛だったハルステッド法は最近では少なくなりましたが、がんが胸筋まで浸潤している場合などには今でも行われています。
乳腺の下にある胸筋まで切除するため、あばら骨に皮膚がのる形になり、鎖骨の上や脇の下までくぼみができます。
鎖骨下から脇までを補正したいときは、肩のストラップ部分が太めで胸の開きが小さなブラに、脇からバスト上まで広くカバーできるパットを入れるとよいでしょう。
手持ちのブラのカップやストラップ部分に、肩パットを縫い付けてリフォームする方法もあります。
[胸元を広くカバー]

バストを広範囲にカバーして、自然なラインを作るブラ。A~Cカップ。4,095円(ワコール)

創部の大きい人向き。オールストレッチレースのエレガントなデザインで、術後もおしゃれが楽しめる。6,825円(ユコー)

鎖骨下から脇にかけてカバーするパッド。外側はウレタン、内側はシリコンジェル。重さは乳房の約1/3の軽量タイプ。8,925円(ワコール)
[胸筋温存全摘術]

胸筋温存全切除例。脇の下リンパ節も郭清。胸の上部の変形がないため、パットなどで補正しやすく、胸の開いた服も着られる
「胸筋が残っていれば、鎖骨下や脇に大きなくぼみができないので、補正しやすく、胸開きの大きな服も着られます」(福田さん)
パットは、乳房の重みや形などに合わせて選び、胸の上部までカバーしたいときは三角型、脇の下までカバーしたいときは、横長型を。シリコンタイプには下垂型などもあります。
直接肌に粘着するタイプのものは、体質によってかぶれることがあるので注意してください。
切除側は、胸の厚みが減り、ブラのストラップがずれやすいので、幅が広めのものを。傷にホックや金具、ワイヤーがあたらないかも要チェック。背中に手が回しにくいときは、前開きのものを選ぶとよいでしょう。
●診察時に便利な前開き

胸やサイドを圧迫せずに、きれいなバストラインを作る前開きタイプ。同型で後ろホックも。6,825円(ユコー)
●くつろぎタイムに

手術後からすぐに使える、肌に優しいエジプト綿。フロントファスナーで、手が上がらない時期にも便利。ニューインナー 6,510円(ユコー)
TPOに合わせて選びたいパットのいろいろ
☆適度な重さのシリコン内蔵☆

外側はウレタンフォーム、内部はシリコンジェル。手軽に使えてずれ上がりにくく、ソフトな感触。洗濯後の乾燥にやや時間がかかる。CS型ソフト 12,600円(ユコー)
☆手軽なウレタンフォーム製☆

軽いふだん着用パット。しずく型、ハート型、円形の3種。F型マンマ 5,880円~(ユコー)
☆乳房感覚のシリコン製☆

熱伝導率が高く、体温を吸収。汗をかきにくく、匂いやムレを防止。適度な重さで肩こり解消。ドイツ・アニタ社のシリコン・プロテーゼ 39,900円(下着屋ドットコム)
☆乳房感覚のシリコン製☆

表側は乳房に近い柔らかさ、裏側は安定感のある2層のシリコンで、乳房の揺れまで再現。サイズは9種類。同型の軽量タイプや他の種類の横長型もある。ブラに入れて。トレシア パーソナリー 27,300円(コロプラスト)
☆乳房感覚のシリコン製☆

直接肌に接着できるシリマの新製品。ブラに入れても使える。粘着プレートは別売り。シリマ・ダイレクト 62,800円(ユコー)
☆乳房感覚のシリコン製☆

ドイツ製のシリコンパット。乳房の適度な重さや柔らかさ、弾力性を再現。軽量タイプ、左右対称型、温存用も。別売りの乳首もつけられる。シリマ 38,640円~(ユコー)