乳がん手術後の暮らしとバストケア PART-2

監修・アドバイス:福田 護 聖マリアンナ医科大学外科教授
取材協力:乳がん患者会 虹の会 新樹の会
取材・文:池内加寿子
発行:2004年8月
更新:2013年8月

手術直後や放射線治療中は、肌にやさしく、刺激の少ないブラ&パットを

[乳房温存手術]
写真:標準的な温存手術例

標準的な温存手術例。術後2カ月。傍乳房切開により、左乳房左上側、直径3cmの腫瘍に2cmのマージンをつけて切除

温存手術の施行率が高くなり、全国平均では50パーセント程度、聖マリアンナ医大乳腺外科では65パーセントになっています。とはいえ、病院や医師によって考え方が違い、切除範囲も千差万別。乳房の内側下や、乳房の4分の1を扇形に切除すると、変形も大きくなるようです。

温存用の補正グッズはまだ少ないのが現状ですが、最近ようやく専用のパットやブラが開発されてきています。切除部分に合わせてブラをリフォームしてくれる会社もあります。

また、ブラの裏にTシャツなどの布でポケットを縫いつけ、手作りパットや、ガーゼ、ストッキング、小さな肩パットなどを詰めるのもおすすめです。手作りパットは補正部分のサイズにカットした2枚の布を袋状に縫い、丸めたガーゼやコットンを詰めてとじればできあがり。

手術後や放射線治療後しばらくの間は、きついブラやワイヤー入りブラでは皮膚や傷痕への刺激が強すぎ、痛みや浮腫の原因に。ワイヤーのないソフトタイプのブラを着用するといいでしょう


写真:ブラ付きキャミソール

●手術後からすぐに使える
肌に優しいコットンとシルクの混紡素材。布製のソフトパット付き。ブラ付きキャミソール M、L 10,000円、LL 11,000円。同素材のブラもある。(下着屋ドットコム)
写真:F型フォーム温存療法用パット

薄いスポンジ感覚の手軽なパット。F型フォーム温存療法用 2,625円(ユコー)

写真:お気に入りのブラを、補正してくれる!

●お気に入りのブラを、補正してくれる!
専門のフィッターが、変形部分に合わせて天竺綿とパンヤでパットを手作り。手持ちのブラに縫い付けてくれる。乳がん専用ブラの補正や微調整などもOK。上の写真の例で2,625円と価格も手頃。(KEA工房)
写真:部分用マンマ

●温存用のパット 切除部分に合わせてチョイス!
1/4切除などに向く部分用のシリコンパット。ブラにスナップなどでとめて使う。部分用マンマ 各5,250円(ユコー)

写真:シリマ温��療法用・再建手術用

左右の乳房の高さ調節に。乳房に近い感触のシリコンパット。シリマ温存療法用・再建手術用 22,050円(ユコー)

温存後の変形は、パウダービーズ入りのブラできれいに補正
写真:アジャストボリュームブラ

ポケットの肌側の素材は、伸縮する2ウェイトリコットで、吸湿性があり、肌ざわりもなめらか。A~Cカップ。アジャストボリュームブラ 3/4カップ、フルカップとも7,140円(ワコールリマンマ)

乳房温存手術が増えていますが、切除範囲の個人差が大きく、手持ちのブラではきれいなシルエットが出なかったり、既製のパッドが合わなかったり。

そんな患者さんの不満に応えて、温存専用のブラ「アジャストボリュームブラ」(ワコールリマンマ)が新登場。パッドの代わりに、カップ裏のポケットに、一人ひとりに合わせてパウダービーズの量を調節しながら注入するのが特徴です。ビーズは、直径0.5mmの粉のように細かい発泡ポリエチレン製で、ジェルのように流動性があり、ソフトな感触。ブラをつけてから手でビーズを補正部分に寄せるとその状態でとどまり、きれいにカバーできます。

全国5カ所のワコールリマンマルームで、アドバイザーがビーズを注入。各地で相談会も開催される予定。

問い合わせ先

◆(株)ワコール/リマンマ TEL 03-3865-6474

◆ユコー(株) TEL 03-5811-8051

◆中村ブレイス(株) TEL 0854-89-0231

◆コロプラスト(株) TEL 0120-66-4469

◆KEA工房 TEL 03-5775-1172

◆下着屋ドットコム TEL 046-257-6230  ホームページ

注文方法は、各社まちまち。カタログを取り寄せるか、ホームページで検討し、不明の点は、直接問い合わせてください。
価格はすべて税込みです。

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