乳がん手術後の暮らしとバストケア PART-1
乳がんの患者さんが考えたつけ心地のよいブラ&肌着

ご自身の乳がん体験から、「なぜ、切除側だけのブラがないの?」と疑問をもった加藤ひとみさんは、姉の小林光恵さんや友人とともに、切除側、健康側を別々につけられるブラを開発しました。
97年に右の乳がんを切除した加藤さんは、胸が鉄板で圧迫されているように息苦しく、浮き出た肋骨に何かがぶつかるこわさが常にあったとか。人込みの中ではハンドバッグで常に胸をカバーしていたといいます。
「窮屈なのがきらいな私はノーブラ派だったのですが、術後は就寝中も切除側をおさえていないと不安感がありました。シリコンパットは重すぎ、市販の乳がん専用の前開きブラは、ホックが傷口にあたって期待はずれ。切除側だけつけられて傷にもやさしいブラを求めて、手持ちのブラのカップを片方カットしたり、中に肩パットを入れてみたり。試行錯誤の結果生まれたのが、ツーピースブラなのです」

柔らかな綿混素材でしめつけ感がなく、ノーブラ感覚で着用できる。切除側はホックのないかぶりタイプ。傷にやさしく、レントゲンもそのまま受けられる。健康側は前どめホックのものを重ねてつける。ホックタイプを切除側用に入手して、入院中から胸帯代わりに使い、社会復帰後も愛用しているという人も。ナチュラルブラセット(左右で)/7980円。左右別売りもある。
姉の小林さんも子宮がん体験者。加藤さんに共感し、知人の下着メーカーに依頼して商品化。加藤さんのがん保険を資金に、姉妹の名前をとった会社「ブライトアイズ」を設立して販売を開始しました。
ツーピースブラは「肌ざわりがよくラクなのに、安定感がある」「別々につけられるので切除側がずり上がらないのが魅力」などと、患者さんに大好評。顧客は5000人に増えています。 加藤・小林姉妹はその後も、温泉で使えるバストカバー、年配者が使いやすいシャツタイプブラ、水着など患者さんたちの声を生かした商品を次々に開発。「手術の3年前に膵臓がんで夫をなくし、乳がん術後は、まだ小学生だった子供のために生きていたようなもの。心も体もつらくて投げやりな気持ちになることもありましたが、仕事を始めて生きがいができて元気に。患者さんたちからも相談を受けるようになって、なんとか悩みに応えたい、と毎日アイデアを練っています」(加藤さん)



(下)重さ調節用ビーズ/1260円。


患者さんの声から生まれた入浴用カバー。
ドイツ製の衛生的なメッシュ素材で、上に服を着ても衣類が濡れない。バスタイムカバー/3990円

胸をカバーしやすい胸ぐりで、着やすい前ファスナー。パット入れつき。ウエスト部分は上下で重なる。アクアスーツ/13125円


※商品はすべて税込価格です。
*ブライトアイズ
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ブライトアイズ・ホームページ
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