がんができる場所から治療法までの基礎知識 子宮頸がん丸わかり完全図解
Q どんな検診をするの?

子宮頸がんの進行期と、症状、検査、治療
進行期 分類 | 1a期 | |
1a1期 | 1a2期 | |
がんの浸潤が3ミリ以内で、広がりが7ミリを越えない | がんの浸潤が3~5ミリ以内で、広がりが7ミリを越えない | |
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症状 | 不正出血、とくに性交渉による接触出血(症状がないことも多い) | |
検査 | 細胞診、コルポスコピー、生検、診断的円錐切除 | |
治療 | 円錐切除、単純子宮全摘 | 準広汎子宮全摘 |
進行期 分類 | 1b期 | |
1b1期 | 1b2期 | |
がんの浸潤が4センチ以内で、子宮頸部にとどまる | がんの浸潤が4センチを越えるが、子宮頸部にとどまる | |
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症状 | 不正出血、悪臭を放った赤色のおりものがでてくる | |
検査 | コルポスコピー、生検、内診、直腸診、MRI検査 | |
治療 | 広汎子宮全摘 | 広汎子宮全摘(+術後放射線) (同時化学)放射線療法 |
進行期 分類 | 2a期 | 2b期 |
がんの浸潤が子宮頸部を越えているが、腟壁下3分の1に達しない | がんの浸潤が骨盤底で子宮を支��る組織に達している | |
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症状 | 悪臭を放った大量の赤色のおりもの | |
検査 | コルポスコピー、生検、内診、直腸診、MRI検査 | |
治療 | 広汎子宮全摘(+術後放射線)、(同時化学)放射線療法 |
進行期 分類 | 3a期 | 3b期 |
がんの浸潤が、腟壁の下3分の1以上に達している | がんの浸潤が骨盤壁にまで達している | |
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症状 | 骨盤内の神経圧迫による腰痛、下腹部痛、足の痛みリンパの流れが停滞することによる足のむくみ | |
検査 | コルポスコピー、生検、内診、直腸診 | 生検、内診、直腸診、排泄性尿路造影、MRI検査 |
治療 | (同時化学)放射線療法 |
進行期 分類 | 4a期 | 4b期 |
がんの浸潤が子宮を越えて、膀胱や直腸の粘膜にまで直接達している | がんの浸潤が骨盤を越えて、周辺臓器(肺、肝臓など)・遠隔へ転移している | |
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症状 | ・膀胱浸潤に伴った血尿 ・肺転移に伴った呼吸器症状 ・直腸浸潤に伴った血便 ・骨転移に伴った骨痛 | |
検査 | 生検、直腸診、膀胱鏡、直腸鏡 | 生検、X線検査、CT検査 |
治療 | (同時化学)放射線療法 | (緩和的)放射線療法、全身化学療法 |
[詳しい治療法]
単純子宮全摘出術

子宮のみを摘出するので、卵巣を残すことができます。
だから、術後の重い更年期障害に陥ることはありません。
準広汎子宮全摘出術

単純子宮全摘出術よりやや広めに切除します。
膀胱などへの神経がダメージを受けず、手術後の合併症が減ります。
広汎子宮全摘出術

子宮を支えている基靭帯、腟の上部2~3センチを含んで幅広く切除します。
2a期までなら若い女性は、卵巣を温存することが可能です。
膀胱の神経障害による、排尿障害(尿意を感じない、尿失禁、完全に排尿できない残尿)やリンパ節切除による下腹部や脚(とくに太もも)、外陰部のリンパ浮腫などの術後合併症が、問題となっています。これらの合併症予防のために、骨盤神経温存術式という方法を積極的に取り入れるなど、現在さまざまな工夫が試みられております。
放射線療法

がん細胞を破壊するために、病変部に放射線を照射する治療法です。
外部照射と腔内照射があります。根治が目的の場合は、この2つを併用することが標準です。
外部照射
放射線を体外からリンパ節の領域に照射します。
腔内照射
子宮、腟に特殊な器具を挿入し、直接がん細胞やその周りに放射線を集中的に照射します。
副作用
吐き気、下痢、食欲不振、腸閉塞、膀胱・直腸からの出血、卵巣機能の喪失による更年期障害、腟が硬くなり性交障害、リンパ浮腫
化学療法
がんを縮小させるために抗がん剤を用いる治療法です。抗がん剤のブリプラチン(一般名シスプラチン)に加え、タキソール(一般名パクリタキセル)という薬を併用することが、標準とされています。
副作用
吐き気、脱毛、白血球・血小板の減少、しびれ
同時化学放射線療法
放射線療法と化学療法を、同時に行う治療法。大規模な臨床試験の結果から放射線療法単独よりも、予後が改善することが科学的に証明され、世界的な標準治療となりました。
子宮頸がん治療のまとめ

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