がんができる場所から治療法までの基礎知識 子宮頸がん丸わかり完全図解

監修:喜多川 亮 NTT 東日本関東病院産婦人科医師
取材・文:「がんサポート」編集部
発行:2012年2月
更新:2015年2月

Q どんな検診をするの?

どんな検診をするの

子宮頸がんの進行期と、症状、検査、治療

進行期
分類
1a期
1a1期 1a2期
がんの浸潤が3ミリ以内で、広がりが7ミリを越えない がんの浸潤が3~5ミリ以内で、広がりが7ミリを越えない
1a1期 1a2期
症状 不正出血、とくに性交渉による接触出血(症状がないことも多い)
検査 細胞診、コルポスコピー、生検、診断的円錐切除
治療 円錐切除、単純子宮全摘 準広汎子宮全摘
進行期
分類
1b期
1b1期 1b2期
がんの浸潤が4センチ以内で、子宮頸部にとどまる がんの浸潤が4センチを越えるが、子宮頸部にとどまる
1b1期 1b2期
症状 不正出血、悪臭を放った赤色のおりものがでてくる
検査 コルポスコピー、生検、内診、直腸診、MRI検査
治療 広汎子宮全摘 広汎子宮全摘(+術後放射線)
(同時化学)放射線療法
進行期
分類
2a期 2b期
がんの浸潤が子宮頸部を越えているが、腟壁下3分の1に達しない がんの浸潤が骨盤底で子宮を支��る組織に達している
2a期 2b期
症状 悪臭を放った大量の赤色のおりもの
検査 コルポスコピー、生検、内診、直腸診、MRI検査
治療 広汎子宮全摘(+術後放射線)、(同時化学)放射線療法
進行期
分類
3a期 3b期
がんの浸潤が、腟壁の下3分の1以上に達している がんの浸潤が骨盤壁にまで達している
3a期 3b期
症状 骨盤内の神経圧迫による腰痛、下腹部痛、足の痛みリンパの流れが停滞することによる足のむくみ
検査 コルポスコピー、生検、内診、直腸診 生検、内診、直腸診、排泄性尿路造影、MRI検査
治療 (同時化学)放射線療法
進行期
分類
4a期 4b期
がんの浸潤が子宮を越えて、膀胱や直腸の粘膜にまで直接達している がんの浸潤が骨盤を越えて、周辺臓器(肺、肝臓など)・遠隔へ転移している
4a期 4b期
症状 ・膀胱浸潤に伴った血尿 ・肺転移に伴った呼吸器症状 
・直腸浸潤に伴った血便 ・骨転移に伴った骨痛
検査 生検、直腸診、膀胱鏡、直腸鏡 生検、X線検査、CT検査
治療 (同時化学)放射線療法 (緩和的)放射線療法、全身化学療法

[詳しい治療法]

 単純子宮全摘出術 

単純子宮全摘出術

子宮のみを摘出するので、卵巣を残すことができます。
だから、術後の重い更年期障害に陥ることはありません。


 準広汎子宮全摘出術 

準広汎子宮全摘出術

単純子宮全摘出術よりやや広めに切除します。
膀胱などへの神経がダメージを受けず、手術後の合併症が減ります。


 広汎子宮全摘出術 

広汎子宮全摘出術

子宮を支えている基靭帯、腟の上部2~3センチを含んで幅広く切除します。
2a期までなら若い女性は、卵巣を温存することが可能です。
膀胱の神経障害による、排尿障害(尿意を感じない、尿失禁、完全に排尿できない残尿)やリンパ節切除による下腹部や脚(とくに太もも)、外陰部のリンパ浮腫などの術後合併症が、問題となっています。これらの合併症予防のために、骨盤神経温存術式という方法を積極的に取り入れるなど、現在さまざまな工夫が試みられております。


 放射線療法 

放射線療法

がん細胞を破壊するために、病変部に放射線を照射する治療法です。
外部照射と腔内照射があります。根治が目的の場合は、この2つを併用することが標準です。

 外部照射 

放射線を体外からリンパ節の領域に照射します。

 腔内照射 

子宮、腟に特殊な器具を挿入し、直接がん細胞やその周りに放射線を集中的に照射します。

 副作用 

吐き気、下痢、食欲不振、腸閉塞、膀胱・直腸からの出血、卵巣機能の喪失による更年期障害、腟が硬くなり性交障害、リンパ浮腫


 化学療法 

がんを縮小させるために抗がん剤を用いる治療法です。抗がん剤のブリプラチン(一般名シスプラチン)に加え、タキソール(一般名パクリタキセル)という薬を併用することが、標準とされています。

 副作用 

吐き気、脱毛、白血球・血小板の減少、しびれ


 同時化学放射線療法 

放射線療法と化学療法を、同時に行う治療法。大規模な臨床試験の結果から放射線療法単独よりも、予後が改善することが科学的に証明され、世界的な標準治療となりました。


子宮頸がん治療のまとめ

子宮頸がん治療のまとめ


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