1次、2次治療ともに免疫チェックポイント阻害薬が登場 進行・再発子宮頸がんの最新薬物療法

監修●平嶋泰之 静岡県立静岡がんセンター婦人科部長
取材・文●柄川昭彦
発行:2024年1月
更新:2024年1月


リブタヨは1次治療でキイトルーダを使用していない人だけに?

リブタヨの有効性を証明したEMPOWER Cervical-1試験の対象者は、すでに1次治療を終えた患者さんですが、この中にキイトルーダを使用した患者さんは含まれていません。進行再発子宮頸がんにキイトルーダが有効であると発表されたのが2021年。EMPOWER Cervical-1試験の結果が発表されたのが2022年ですから、それは当然なのです。

「リブタヨは免疫チェックポイント阻害薬で、キイトルーダと同じ抗PD-1抗体薬です。キイトルーダを使用していない人に、2次治療でリブタヨを投与したら効いたわけですが、1次治療でキイトルーダを使用した人を対象にした試験は行われていません。ですから、まだ答えが出ていないのです」

1次治療で免疫チェックポイント阻害薬を使用し、それが効かなくなった患者さんに、2次治療で同じタイプの免疫チェックポイント阻害薬を使って効果があるのか――。

「現状では、答えが出ていないので使用しない」という意見が多くなっています。

「1次治療でキイトルーダが使用できるようになったのが2022年ですから、それ以前に1次治療を受けた患者さんが再発した場合は、リブタヨはよい適応と言えます。単剤化学療法を上回る成績が期待できます。ただ、キイトルーダが使えるようになってからは、1次治療でキイトルーダを使うことが多くなっているので、今後リブタヨを使える人はかなり限られてしまうと思います」

リブタヨは単剤で2次治療に使用するということで承認されましたが、今後は分子標的薬との併用など、新しい使い方の開発が進んでいくのではないかと考えられています。

予防にはワクチン接種が重要なのですね?

ここ数年で子宮頸がんの薬物治療は大きく進歩しましたが、子宮頸がんはワクチンでの予防効果が確認されている数少ないがんです。できれば子宮頸がん予防ワクチン接種が進んで子宮頸がんになる人が減り、薬物治療を受けなくてもよい時代になって欲しいものです。

「海外では、ワクチンの効果で子宮頸がんが確実に減り始めたというデータが出ていますが、日本ではまだ増える傾向にあります。2022年4月にワクチン接種が約9年ぶりに再開されましたが、現在でもワクチンの接種率は残念ながら低くて、静岡県では3割ほど。薬物治療の進歩��大切ですが、子宮頸がん対策で最も重要なのは、ワクチン接種を広く進めていくことだと思います」

よく効く薬の開発と、ワクチン接種率の向上が期待されています。

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