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息苦しさをやわらげる「呼吸リハビリ」 ちょっとしたコツをマスターするだけで呼吸がうんと楽になる

監修:吉沢孝之 要町病院院長
岩城基 要町病院リハビリテーション室室長
取材・文:菊池憲一
発行:2006年4月
更新:2013年4月

息を長く吐き出す口すぼめ呼吸

外来2日目。Aさんはプログラム1のリラクゼーションと2の呼吸練習に取り組んだ。岩城さんは、まず体の力を抜く練習をした後、仰向けになったAさんのお腹と胸の上に手を当てて、息を吸うときにお腹がふくらむのを意識するようにアドバイス。Aさんは岩城さんの指導で、腹式呼吸のコツを学んだ。口をすぼめて口笛を吹くように少し唇を出して、息をできるだけ長く吐き出す「口すぼめ呼吸」もマスターした。呼吸を整えて、息切れを起こさないようにする大切な呼吸法だ。

[口すぼめ呼吸の仕方]

イラスト:鼻から息を吸ってリズムをとって
イラスト:おなかに力を入れず口をすぼめて吐き出す
吸う時の2倍の時間をかけてゆっくりと息を吐き出しましょう


外来3日目。プログラム3の胸郭可動域運動に取り組んだ。硬くなった胸郭をやわらかくする運動である。岩城さんが両手で、Aさんの胸郭の動きをやわらかくする。どんな運動が効果的かを学び、自宅では肩の上げ下げ、体の横倒し、体の横回しなどの体操で胸郭をやわらかくする。

[胸郭可動域運動]

写真:胸郭可動域運動
写真:胸郭可動域運動
胸部をしっかり動かすと、胸が柔らかくなる


外来4日目。プログラム4の呼吸筋トレーニング。お腹におもり(袋入りの塩や砂)を置いて、呼吸に力をつける。自宅では1回10~20分、1日3回が目標だ。このトレーニングにはボルダイン(下右写真。タイコヘルスケアジャパン(株))、スレショルド(チェスト(株))などの呼吸筋訓練器を用いる方法もある。

[呼吸筋トレーニングの1つ、腹部重錘負荷法]
写真:腹部重錘負荷法

500g位から開始。徐々に重くし、3~5kgが目標
10~15分/1日2~3回

[呼吸筋トレーニングに使う機器のボルダイン呼吸訓練器]
写真:ボルダイン呼吸訓練器


外来5日目。プログラム5の日常生活で呼吸リハビリを生かす練習だ。歩くときや階段、また強い力を入れる動作をするときの呼吸法や動作要領を練習した。

外来6日目。プログラム6の運動療法だ。ゆっくりと長く、週に3回以上歩くこと、また腕や足の筋力トレーニングも含めて、自宅で行う運動メニューを作った。

[日常生活動作のポイント]

  • 食事:一度にたくさん食べない
  • 排泄:洋式トイレを使用。息を止めない
  • 更衣:椅子に座る。前かがみにならない
  • 入浴:呼吸に同調させて洗う。肩までつからない。換気を十分に
  • 歩行:腹式・口すぼめ呼吸をしながら、呼吸同調して歩く。階段は吸気時は休む
        酸素ボンベの残り時間を把握
[運動療法とそのポイント]

1. 万歩計
まず1日中つけて1日の歩数を調べる
《1週間に約500歩/日ずつ増やす》
《1日約3000~5000歩を目標とする》
2. 歩行距離、時間
5~10分くらいから始めて、20分以上
週2~5回を目標とする
歩行時はゆっくりとした口すぼめ呼吸をする
※調子が悪いときは無理しない。少なくとも現状維持ができるように

    運動をするときのポイント

  • 動作中は、口すぼめ呼吸と腹式呼吸をする
  • 動作は呼気で行う
  • 息切れが強いときは、各動作の間に腹式呼吸を1~2回取り入れる
  • 息切れが強い日は、運動量を半分にするか、中止にする
[呼吸筋ストレッチ体操]
イラスト:呼吸筋ストレッチ体操


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