息苦しさをやわらげる「呼吸リハビリ」 ちょっとしたコツをマスターするだけで呼吸がうんと楽になる
リラクゼーションだけでも呼吸が楽になる

リラックスすると、体の力が抜ける
Aさんは週1回、合計6回通院。呼吸状態をチェックし、提案されたプログラムをマスターした。外来でのトレーニングの時間は20~30分間。同行した家族も一緒に呼吸法を学んだ。
「1から5のプログラムは簡単にマスターできます。これらを行うことで息切れは少なくなり、息切れ感をコントロールできます。6の運動療法は、体力を維持するために重要です。また、痰が出しにくいときには排痰練習をします。アカペラ(フジ・レスピロニクス(株)販売、米国DHD社製)などの排痰器具を用いると痰を出しやすくなります」と岩城さん。
なお、息切れが起きたときに最初に行うのは、1のプログラム、リラクゼーションである。息切れが起きたら、右の図のように壁や机などのもたれかかるような楽な姿勢をとる。そして、口すぼめ呼吸や腹式呼吸を行う。
「このリラクゼーションをマスターするだけで、呼吸が楽になります。息切れによるパニック状態を防ぐことができます」と岩城さん。 同病院緩和ケア病棟に入院中の患者にも呼吸リハビリテーションを必要とする人がいる。岩城さんらは、入院患者のベッドサイドで、その患者の呼吸状態に応じた呼吸リハビリテーションに取り組んでいる。
「呼吸リハビリテーションは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性の呼吸器病への有効性は確立されています。しかし、肺がんなどのがんによる呼吸困難感や息切れに対して呼吸リハビリテーションがどの程度有効かについて、まだきちんとした報告はありません。ただ、これまでの現場での取り組みから言えば、肺がんなどによる息切れにも呼吸リハビリテーションはかなり有効だと感じています。息切れがあったら呼吸リハビリテーションに取り組んで、呼吸を少しでも楽にしてほしいと思います」(吉沢さん)
同病院では今年4月、リハビリテーション室に新たに2人の呼吸療法認定士を迎え入れて、呼吸リハビリテーションを強化する。
「呼吸リハビリテーシ���ンによって、肺がんなどのがんによる呼吸困難感や息切れを少しでも楽にさせてあげたいと思います。地域の中核病院の1つとして、大学病院の呼吸器科などと連携して、呼吸リハビリテーションの普及に努力していきます」と吉沢さんは語る。

◎息をゆっくり吸い込み、速く強く息を「ハーッ」と吐き出す
◎2~3回くり返し咳をして痰を出す

食間に1日あたりコップ8~9杯のぬるい水を飲み、痰を出しやすくする

◎市販のバイブレーターか手で行う
◎バイブレーターはタオルを体に当てて使う
◎振動は1カ所1分以内
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