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空咳、息切れ、発熱に注意! 肺がん治療「間質性肺炎」は早期発見が大事

監修●久保田 馨 日本医科大学呼吸ケアクリニック副所長/臨床腫瘍部門長
取材・文●「がんサポート」編集部
発行:2024年2月
更新:2024年2月


非小細胞肺がんにおけるオフェブの試験とは?

無作為化第Ⅲ相試験「J-SONIC」について説明しておきましょう。

「J-SONIC」は、特発性肺線維症(IPF)を伴う進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオフェブ+化学療法(試験治療群)と化学療法単独(標準治療群)との有効性と安全性を比較評価した試験です(Otsubo K, et al. Eur Respir J 2022; 60: 2200380.)。

IPFを合併した、化学療法未治療の進行NSCLC患者さんを、カルボプラチンとアブラキサン(一般名ナブパクリタキセル)+オフェブ群と化学療法単独群に割り付け。主要評価項目はIPFの無増悪生存期間(EFS)。患者登録数243人。

結果は、 EFS中央値はオフェブ+化学療法群14.6カ月 vs. 化学療法群11.8カ月。無増悪生存期間(PFS)中央値は6.2カ月 vs. 5.5カ月。全生存(OS)は、非扁平上皮組織型(非小細胞肺がんの中の扁平上皮がん以外)およびGAP(性別・年齢・生理学)ステージIの患者さんにおいてオフェブにより改善。240人の患者のうち7人(2.9%)が治療中に急性増悪。オフェブ群で発熱性好中球減少症、下痢、蛋白尿が多かったものの、QOLに差は認めませんでした(表3)。

結論は、主要評価項目は達成されなかったものの、カルボプラチンとナブパクリタキセルは、IPFを有する進行NSCLC患者さんに有効で、忍容性があることが判明。 さらに、オフェブと化学療法を併用することにより非扁平上皮組織型患者さんの全生存期間が改善されました。

海外で行われた、治療歴のある非小細胞肺がん(NSCLC)患者655名を対象としたドセタキセル(一般名)+オフェブ vs. ドセタキセル+プラセボの第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較試験(Reck M, et al. Lancet Oncol 2014; 15: 143-155)でも腺がん患者において、オフェブ群での生存期間の延長が示されています。

患者さんがとくに注意することは?

「肺がん治療は遺伝子変異などを詳しく調べる必要がありますし、間質性肺炎もどのようなタイプかはっきりさせるというのがポイントです。どちらもかなり喫煙が影響するので、受動喫煙も含めて避けるのが非常に大事です」

医療施設を選ぶ場合は、肺がんと間質性肺炎の治療両方を行えるところを選ぶ必要があるようです。

「あまりがんを診ていない呼吸器内科もあるので、両方を積極的に治療しているところがいいでしょう。間質性肺炎を併存している場合は、少し治療の選択肢が限られてしまうところがありますが、それなり��効果があります。しかし、進行がんの場合で2次治療を行うとなるとかなり選択肢も狭まりますので、経験豊富な施設のほうがいいですね」

最後に久保田さんは、薬剤による間質性肺炎を早期に見つけるために、次の3つを強調しました。

「空咳、息切れ、発熱の3つを覚えておいてください。そのうちの1つでも症状があればまず病院に連絡してください。とくに薬剤性の場合は熱が出ることもありますので、この3つの症状は大事になります」

間質性肺炎を併存していても、適切に治療ができれば予後の改善が期待できるそうですが、間質性肺炎が急激に悪化するというリスクを避けつつ肺がん治療を完遂したいものです。

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