オプション満載。さらに新薬も続々と登場予定 あの手この手でやっつけろ!ホルモン療法が効かなくなった前立腺がん
タキソテールが効かなくなっても
一方、タキソテールが効かなくなった患者さん、あるいはホルモン療法による交替療法が効かなくなってきたときの治療として、独自の治療方法をオプションとしてもっている病院も多い。
大阪大学病院ではDUC療法という内服の抗がん剤治療を、タキソテールが効かなくなった患者さん、もしくは化学療法を避けたいと強く希望する患者さんに対して行うことがある。
「DUC療法はデカドロン(*)、UFT(*)、エンドキサン(*)の3剤を併用します。生存期間が延長できるかどうかは不明ですが、PSA値の低下、症状の改善は期待でき、効果は高いという実感はあります」
そのほか、エストラサイト(*)という、がん細胞の増殖を妨げるアルキル化剤と女性ホルモンとを結合させた抗がん剤が選択されることもある。
「ただし、過去にエストラサイトを使った人はタキソテールの効きが悪いといわれているので、エストラサイトは慎重に使用するべきでしょう」
*デカドロン=一般名デキサメタゾン28 *UFT=一般名テガフール・ウラシル
*レ=名
*エンドキサン=一般名シクロホスファミド
*エストラサイト=一般名エストラムスチン
間欠的ホルモン療法は適した患者さんに
ホルモン療法は継続して行うのが一般的だが、PSA値が下がったときにいったん休止し、再び上がり出したらホルモン療法を再開する「間欠療法」という方法もある。
「ホルモン療法を休むことで副作用が軽減されます。また間欠療法を受けた患者さんでは明らかにQOLが改善しており、治療費も削減できるというメリットがあります」
利点に目を向けると魅力的な間欠療法だが、今年のASCO(米国臨床腫瘍学会)において、新たな臨床結果が発表された。通常の持続的なホルモン療法と比較した結果、非劣性が示されない、つまり、持続的なホルモン療法と必ずしも効果が同等とはいえないという結果が得られたのだ。
とはいえ、実際の臨床現場に目を向けると、長期に渡るホルモン療法の副作用に悩む患者さんは多い。とくに高齢の患者さんにとっては、切実な問題となっている中、中井さんは個々の患者さんに適した治療法を選ぶべきであり、間欠療法もその選択肢の1つだと指摘する。

「決して間欠療法が劣るという結果ではなく、がんの広がりや年齢、希望を考慮して患者さんに適した方法を選ぶことが重要です。QOLの維持や副作用対策から高齢であれば休止期間があっても問題ないでしょう。しかし治療を重視したい60代の患者さんならホルモン療法は休みなく続けるのがいいと確認されたともいえます」
去勢抵抗性の前立腺がんの治療は、できるだけQOLを低下させず、長く薬物治療を続けることが重要である。そのために、どういった治療を選択すべきか、考える必要があるだろう(図4)。
新薬も続々登場
去勢抵抗性前立腺がんでは新たな薬剤の開発も進んでいる。まずは、MDV3100と呼ばれる薬剤。
「これはアンドロゲンとアンドロゲンレセプターの結合を阻止する力が強力であるのに加え、今までと違うメカニズムを持った抗アンドロゲン剤です」(図5)。


そのほか期待される抗アンドロゲン剤にはアビラテロン、オルテロネル(いずれも一般名)があり、これらは海外の臨床試験でタキソテールが効かなくなってから投与しても効くというデータが出ている(図6)。一方、抗がん剤としてはカバジタキセル(一般名)という新薬も控えている状況だ。
まさに新薬ラッシュの去勢抵抗性前立腺がん。今使える薬剤を上手に使いながら、新たな薬の登場を待ちたい。
同じカテゴリーの最新記事
- 放射性医薬品を使って診断と治療を行う最新医学 前立腺がん・神経内分泌腫瘍のセラノスティクス
- リムパーザとザイティガの併用療法が承認 BRCA遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん
- 日本発〝触覚〟のある手術支援ロボットが登場 前立腺がんで初の手術、広がる可能性
- 大規模追跡調査で10年生存率90%の好成績 前立腺がんの小線源療法の現在
- ADT+タキソテール+ザイティガ併用療法が有効! ホルモン感受性前立腺がんの生存期間を延ばした新しい薬物療法
- ホルモン療法が効かなくなった前立腺がん 転移のない去勢抵抗性前立腺がんに副作用の軽い新薬ニュベクオ
- 1回の照射線量を増やし、回数を減らす治療は今後標準治療に 前立腺がんへの超寡分割照射治療の可能性
- 低栄養が独立した予後因子に-ホルモン未治療転移性前立腺がん 積極的治療を考慮する上で有用となる
- 未治療転移性前立腺がんの治療の現状を検証 去勢抵抗性後の治療方針で全生存期間に有意差認めず