できるだけQOLを落とさず長期の治療を 新薬の登場も!ホルモン療法が効かなくなった前立腺がんの最新治療
好中球減少が起きているときは外出を控える
タキソテールとプレドニゾロンの併用療法で、最も注意すべき副作用は、白血球の一種である好中球の減少である。抵抗力が低下し、細菌感染などが起こる心配がある。
試験名 | Ide, et al (75mg/㎡) | 国内第2相 (70mg/㎡) | TAX327 (75mg/㎡) |
人 数 | 20 | 43 | 335 |
好中球減少 (G3<) | 85% | 93.0% | 32% |
発熱性 | 10% | 16.3% | 3% |
「臨床試験のデータを見ると、好中球減少が起きるのは、海外では3分の1程度の人ですが、日本人では8割ほど。日本人にとってとくに注意すべき副作用です。ただ、好中球が下がる人は多いのですが、下がっている期間が短いという特徴があり、筑波大学のデータでは注意すべき期間は3日弱でしたので、その期間を慎重に過ごせば、大事に至らずにすみます」
1~2サイクル経験するうちに、好中球減少が起きるかどうか、起きるとしたら何日目くらいか、といったことがわかってくる。それがわかれば、危険な時期に外出を控えたりすることで、感染症を予防することが可能だ(図5)。

末梢神経障害や味覚障害なども問題になることがある。長く続けることで現れてくることが多い副作用である。末梢���経障害のしびれなどは、6サイクル前後で現れることが多い(図6)。
「箸や茶碗を持つのに支障があるとか、脚がしびれてうまく歩けないなど、日常生活に支障をきたすような場合は、休薬する必要があります」
もう1つ重要な副作用は間質性肺炎である。添付文書によれば、4.7%に現れることになっている。決して稀な副作用ではない。
「毎回、投与前に胸部X線撮影と酸素飽和度をチェックしています。タキソテールの治療を開始する前に、胸部のCTを撮っておくことも意味があります」
タキソテールが効いている場合、この治療をいつまで続けるかが問題になる。20サイクルも30サイクルも続けるのが理想かといえば、必ずしもそうではないという。
「海外の臨床試験も、国内の臨床試験も10サイクルで治療を終了しています。効いているとやめにくいのは事実ですが、10サイクル終了後は休薬し、また悪くなり始めたら治療を再開する『間欠療法』という方法もあります。ただ治療を再開したとき再び薬が効くのか、という不安はあります。海外では、当初効果があり、休薬後に治療を再開した7割程度の人に効果があったという報告があります。休薬、再開の是非は今後検討課題だと思います」
タキソテールの治療に関しては、継続するのがいいのか、間欠療法がいいのか、まだ結論は出ていない。ただ、去勢抵抗性前立腺がんの治療は、できるだけQOLを低下させずに、長く薬物治療を続けることが重要である。タキソテールをどのように使うかも、そうした前提のもとで考えることが大切であろう。
期待される薬の登場も

海外で承認されていながら、国内では使えない薬もある。
「1つはカバジタキセル(一般名)というタキソテールと同じタキサン系抗がん剤です(図7)。タキソテールが効かなくなった場合の治療薬として期待されています。もう1つは、ホルモン療法薬のアビラテロン(一般名)で、副腎由来のアンドロゲンの合成を阻害する薬です。海外の試験では、どちらの薬も、タキソテールが効かなくなった患者さんに、約4割の奏効率でした」
他にも、いくつかのホルモン療法の薬の臨床試験が進行しているという。その結果に期待したいものだ。
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