前立腺がんの基礎知識:1人ひとりに合った治療法を! これだけは知っておきたい! 前立腺がんの基礎知識

監修●赤倉功一郎 東京厚生年金病院泌尿器科部長
取材・文●半沢裕子
発行:2013年2月
更新:2019年12月

Q6 グリソンスコアって何?

グリソンスコアとは、前立腺がんの診断に使われる組織学的悪性度、つまりがんの顔つきを調べる指標のことを指します。生検でとった組織の顕微鏡像を見て、最も面積の多い病巣と次に面積の多い病巣を数字に表します。

1(最もおとなしく見える組織)~5(最も悪性度が高く見える組織)の5段階評価になりますが、1や2は針生検でとったわずかな細胞では判断しにくいため、3~5を使って評価するのが一般的です。3+3、3+4、4+3、4+4、4+5、5+4、5+5の7種類、つまり、評価の数値としては6~10になります。6はおとなしく、7は中間、8~10は悪性度が高いと判断します。

Q7 前立腺がんの病期の分類は?

がんと診断がついたら、病期診断を行います。通常、行われるのはCT検査と骨に転移がないかを見る骨シンチグラフィ検査(以下、骨シンチ)です。骨シンチは骨の代謝の盛んな場所に集まる放射性物質を患者さんに注射して、骨の状態を画像に撮る検査です。

病期は主に、国際対がん連合で使われているTNM分類を使います。Tは最初にできたがん(原発巣)の大きさを、Nは隣接するリンパ節に転移があるかどうか、Mはほかの臓器への転移(遠隔転移)があるかどうかを表します。従来日本で使われてきたA~D期の病期分類を併用することもあります。

■前立腺がんのTNM分類

T:原発腫瘍 N:リンパ節転移 M:遠隔転移

Q8 治療法にはどんなものがあるの?

比較的穏やかで進行の遅いがんなので、早期で患者さんが高齢などの場合、無治療で経過を見守る方法(PSA監視療法)もあります。積極的な治療としては手術、放射線治療、ホルモン療法、抗がん薬治療などがあげられますが、病期と状態により選択肢は大きく違います。

早期は選択肢が多く、同じ手術でも開腹手術、腹視鏡下の手術、ロボット支援手術などがあります。ただし、前立腺は小さな器官で、がんが全体に散っていることが多いので、部分切除により前立腺を残すことは今のところほとんど行われていません。

放射線治療も選択肢は多く、体の外側から照射する外照射として、3次元原体照射、放射線をあてる範囲と強さをコンピュータで調節するIMRT(強度変調放射線治療)、X線以外の粒子線療法による治療 (重粒子線、陽子線)など、そして、放射線を出す小さな針を前立腺内に埋め込む小線源療法があります。

Q9 どうやって治療法を決めるの?

「治療の効果」や、「副作用」、「合併症」、「治療費」、「治療にかかる期間」などの内容を十分に理解したうえで、最良の治療法を選択する

早期前立腺がんの患者さんについては、T因子(原発巣の大きさ)、PSA値、グリソンスコアの3つを使ってリスク分類を行います。早期とは、病期分類がN0M0、つまりがんが前立腺にとどまり、リンパ節転移もない場合です。リスク分類は、「低リスク、中リスク、高リスク」の3種類あり、それにあわせて治療を選択します。一般的には以下のとおりです。

低リスク ……PSA監視療法(無治療)、手術、放射線治療(小線源、外照射)など。

中リスク ……単独療法ではリスクが高いので、手術+外照射、小線源+ホルモン療法など、治療を併用することもあります。

高リスク ……ホルモン療法+外照射が主体となり、症例により手術も選択肢。

患者さんが高齢の場合、平均余命を考慮し、手術など体への負担のある治療法ではなく、ホルモン療法を選択することもあります。

転移のある患者さんについては、まずホルモン療法を行います。

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