これだけは知っておきたい 子宮体がん編 根治性ばかりでなく、治療後のQOLもよく考えたうえで治療法を選びましょう

監修:関口勲 栃木県立がんセンター婦人科医長
構成:半沢裕子
発行:2005年8月
更新:2014年1月

医師もネットも活用して、治療後も快適に過ごす

生殖器のがんだけに、ひと知れず悩みを抱え込んでしまう患者さんは予想以上に多いはずです。しかし、リンパ浮腫のように、放っておくとQOLが著しく損なわれる一方、早めに手当てをすると症状が劇的に改善することもあります。本来の日常生活を続けるためにも、どうぞ医師や医療機関をフルに利用してください。

とにかく、強調したいことはひとつ。基本的に「術後にやってはいけない行為」はないということです。重いものをもっても性交をしても、まったく問題ありません。むしろ、気をつけなければいけないのは、「もう性交はできない」というように思い込んでしまうことだと思います。

婦人科がんはどうしても、性に関するデリケートな問題に直面させられます。しかし、繰り返しになりますが、女性らしさは生殖器だけにあるのではなく、女性の心身全体にわたるものです。術後はなかなかそう考えられない方も多いかと思います。その点、まわりの方々が上手に温かく見守ることが、患者さんのQOLに何より大切だと思います。


診断・治療に関し、医師にぜひ質問したいことがら

診断について
  • 私のがんはどんながんですか。名称とできた場所、大きさを教えてください。
  • それはどんな性質のがんですか。
  • 今はどのくらいの進行度ですか。
  • 浸潤や転移はしていませんか。しているとしたら、どこにどんな浸潤、転移がありますか。
  • 治療を急ぎますか、少し時間がありますか。
治療について

◇治療計画のこと

  • これから、どんな治療を行なうことになりますか。全体のスケジュールを教えてください。
  • (将来出産を希望する人に)子供を産みたいので、子宮と卵巣を残したいのですが、私の場合は可能ですか。残すと再発リスクはどのくらい高くなりますか。

◇手術を受ける場合

  • 手術でがんはとれますか。全部取れますか。それとも、部分しかとれませんか。
  • 手術はどんな手術ですか。どこをどのくらい切るのですか。
  • (広汎子宮全摘術と言われた人に)どこをどのくらい切除するのですか。それによって出てくると思われる後遺症はどんなものですか? その程度は?
  • (広汎子宮全摘術と言われた人に)より小さく切除する準広汎子宮全的術という手術があると聞きました。その��式で行なうことはできませんか。神経は温存できますか。
  • 術前、術後に抗がん剤や放射線の治療は必要ですか。
  • 術前に抗がん剤や放射線の治療で、がんを小さくしてから手術することは可能ですか。

◇手術を受けない場合

  • 手術ができない理由をくわしく教えてください。
  • どんな治療を行ないますか。抗がん剤ですか。放射線ですか。その併用ですか。
  • 抗がん剤はどんな薬をどのくらいの期間、どんな形で点滴(摂取)しますか。
  • どんな副作用がありますか。
  • 放射線治療はどのくらいの期間、どのくらいの量(線量)を受けることになりますか。
  • どんな副作用がありますか。
治療後について
  • 治療が一段落したら、そのあとはどうしたらいいですか。
  • 私の症例では、再発・転移の可能性は高いですか。
  • 再発・転移が見つかった場合、この病院で対応してもらえますか。
  • 後遺症にはどう対応してもらえますか。リンパ浮腫などが出た場合、症状を軽減するためどんなことをしてもらえますか。必要なら専門医を紹介してもらえますか。
  • 私の後遺症に対するセルフケアを教えてください。


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