「がんはお友だち」

有久園子 社会福祉事業団大平園/山口県防府市
発行:2014年2月
更新:2014年5月

自己流のリハビリを楽しむ

絵をえがいています。アートセラピーになると信じています。音楽りょうほうのための、つういんができないので、しせつでのタオル体操のための、CDのBGMをたのしんでいます。音楽りょうほうのための、つういんのおねがいをしたことはありません。

タオルを持ってやるタオル体操やエアーバイクをこぐこと、かっしゃをつかってのひも上げや、足あげ体操、ラジオ体操、さんぽなどがしせつではあります。

3B体操の先生が、しんせつに出張して下さいます。私は一回だけさんかしました。私のばあい、一人でどこでも歩いていくことは(こわがりなので)できません。それで、しせつの庭のさんぽだけやるようにしています。あたまのなかをシワシワにしたいので、心と体のリハビリをやります。

まだ、がんとの闘病がつづいていると信じています。がんは私の友だちです。ポリープちゃんたちも、きれいなサーモンピンクをしているので、かわいいお友だちです。つらいことも、たのしいこともポリープちゃんたちに話しています。かの女たちから、こたえはかえりません。でも、ポリープ語でかの女たちが話していると信じています。こうとうむけいかも知れないけれど、そう思うことによって心がなごみます。

やむおえずしせつにいる私です。いろんなみちを一人で歩くことができません。いじょうなほどのこわがりです。そのしょうがいのほうが大きいのです。でも、それはしょうがいとして認めてもらえません。どこにもたよらずに、私をみてくれた実の両親にとてもかんしゃしています。

大変なことをかかえて、がんになった人は、私をふくめて、前むきでプラスしこうの人が多いですネ。ふしぎにそうなんです。がんも生きたあかしです。

ストレスをためこんでのポリープです。でもそのストレスもいきたあかしです。ありがたいことです。

知的障害という個性に恵まれて

去年の夏に、のどになにかができて、顔もろくに洗えず、うがいもよくできませんでした。たいてい、何かができたりすると、がんにかかったことのある人はすぐに、転移したのではないかとか思うらしいです。

でも、私はちがいます。外来でのどのせっかい、いたかったです。でも、その前にますいの注射で助かりました。そのますいの注射もいたかったです。

ドクターが何かむずかしい病名を言われました。でも、知的障害者の私にわかるはずもなくという状態です。でも、そういう自分をバカにしているのではけっしてありませんよ。知的障害者という名前の個性にこの私が恵まれているのです。そう思えば、ごくらくですよ。

いたって楽天的な性格

私は乳がんに、気づきませんでした。そして、ただのいちども自分が、がんにかかるのではないかというきぐをもったこともありません。よく、とりこしぐろうで、がんになったらどうしようとかいう人がいるけれど、私はいたってらくてん的ですのよ。のうてんきというのでしょう。

切るときも、切ったあともいたかったし、できものができてから、せっかいするまでと、せっかいしてからでも、顔もあたりまえにあらえず、もちろん、うがいもろくにできず、かみの毛も洗わず、シャワー浴も、上半身にあたらないようにして、かんたんにおしもだけ、ただお湯をかけるか、せいしきにするか、それもしない日もありました。

夏ばのことでもあるし、できものができて、それがうんでしまいました。まあ、できものができてからいたかったことでした。それがおととしの六月です。やく2カ月ぐらいです。きちんと洗えるようになるまで、やく2カ月かかりました。

そして、秋には、ポリープが8コ見つかり、胃カメラのけんさでポリープがわかり、8コのうち、2コそのときにドクターが、とり出して下さいました。

しゃしんでみると、なんときれいなサーモンピンク色をしているのかと、ポリープについて思いました。

「園子ちゃん、下宿するよ」のことわりもなしに、かってに下宿して、いすわっている彼女たちです。ぎ人化してみました。

ピロリ菌なし、ポリープは良性とのけんさのけっかが、一カ月ぐらいたってから、わかりました。

ポリープができたということは、まさに、私のストレスの所産です。人間はストレスに弱いということです。でも、それも生きているあかしです。

いまのところ彼女たちは、おとなしくしているのでしょうネ。それで助かっています。良性から悪性になるばあいがあるらしいけれど、このまま、彼女たちがおとなしくしてくれることを信じています。

胃カメラのけんさはひつようです。こわいし、いたいけれど、胃カメラのけんさはひつようです。日本の医りょうほけんのせいどがほうかいしないことを祈っています。

目的があると強くなれる

何年たっても、切ったところがいたいばあいもあります。乳がんになったことで、新しい出会いにもめぐまれたし、少しは、人間がマルくなったかなと思えることもあります。じがじさんです。乳がんの手術をしてくださったドクターはお上手です。上手に切って下さったから、きれいですよ。

じろじろと、しせつの女子のりようしゃさんが右のおちちがない、私の体をみることもあります。共同のくらしです。

これまでに何ども、りんし体験もやっています。乳がんになって、うつ病になったという人が沢山おられますね。私はうつ病にはなりませんでした。根がらくてんてきなのでしょうネ。とにかく、乳がんのこくちをうけたときに、浄土真宗さんの通信教育を受けていてよかったです。

私に沢山のお金があれば、今も、通信教育を受けているでしょう。レポートを書くのが大すきなんです。もちろん手書きです。

「コスタリカに別そうを立てることが出来ますように」「書道で受賞しますように」「2次方程式がわかるようになりますように」「ロシア語が上たつしますように」の、四つのねがいごとを七夕さまのたんざくに書きました。

編集部に届いた有久さんからの手紙

何か、目的があると人間は、強くなれます。乳がんからの生かんを自分にちかいました。とてもいいドクターにもめぐまれました。乳がんになる女性が多いです。「だいじょうぶよ」と、もし、乳がんで、うつになっている人がいたら、声をかけてあげたいです。

今も、闘病中です。なぜかというと、一年に一度のていきけんさをうけるひつようがあるからです。水分の制限もしています。さんぽをするようにしています。腕をあげる、リハビリもしています。

多くの人が、多病そくさいですね。半病人という人が多いですね。それなりにそくさいですよ。乳がんが私の心を強くしてくれました。これも、神さまからのおくりものなのでしょうね。とにかく、楽しいことを思うようにしています。闘病中の人間には、とにかく、楽しいことを思うことが大事と思います。

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