胃がんステージⅣ、余命1年と宣告された男の奇跡の回復の秘密とは タキソテール+TS-1の抗がん薬治療728日から完治への道のり 第2回
抗がん薬治療を止める決心をする
この健康商品を摂取し始めてから10カ月くらい経った頃、いつも通りがんセンターで内視鏡検査を行った。そして、医師から告げられた結果説明に大変驚いた。胃に出来ていたがん細胞が、なんと、消滅していたのだった。私は飛び上がりたい気持ちを必死に抑え、こう、心の中でつぶやいた。
「とうとう胃がんに勝った」と。
私の胃に出来ていたがんが消滅していることを知った時期は2006年3月頃と記憶しているが、そのとき、胃の状態はその後どうなっているのか、医師に尋ねたことがあった。大きな腫瘍があった所は、少し引きつったケロイド状態で、ちょうど胃潰瘍が治った感じになっているとのことだった。その後は、ケロイド状態も改善し、ほとんど正常な胃に戻っていた。
私は医師に、「どうしてそうなったのでしょうか?」と尋ねてみたのだが、医師も「さぁ……」と不思議そうに首を振るばかりであった。
私の胃に出来ていた手術が不可能な程の悪性腫瘍が消滅したことに、一番驚いていたのは現代医療に携わっている医師たちかもしれなかった。現代医療ではありえない事柄だったのだろうと思った。続けて医師は、「数種類の抗がん薬治療でここまで回復された方は稀にいますが、原島さんのように、同じ種類の抗がん薬のみでここまで回復された方はいません」なんて言っていた。
また、その後の定期検査の診察の中で、医師から「原島さん、手術は嫌ですか?(しませんか?)」とも言われたことがあった。
元気になった私のカラダ(胃の中)を見たかったのだろう。もちろん胃の中の大きながんが消滅した以上、そんな話を受ける訳はないけれど……。
医師は、冗談とも本気とも取れる表情で、このような話をしていた。胃に出来ていたがんが消滅したことを医師から聞いた以上、私は、自分の体への副作用による悪影響を考慮して、医師から、「ここまで長く抗がん薬治療を続けた人はいない」とまで言われた、26クール・728日間にも及んだ、抗がん薬治療を止める決心をした。
「原島さん何だったんですかね? 誤診? それともがんもどき?」

私が、医師に抗がん薬治療を止めることを言うにあたり、医師の反応に多少の不安があったが、思い切って、「抗がん薬をそろそろ止めたいと思うのですが……」と言う私の言葉に、いともすんなり、「ああ、そうですか」という返事が返って来た。
私はその日を境に今後は健康食品1本に絞って、がん再発予防を行っていくことを決心した。
末期の胃がんが消滅し、26クール・728日間にも及んだ抗がん薬治療を止め、健康食品1本に絞った再発予防を行い始めてから8カ月が過ぎようとしていた。
この間、CTや内視鏡、採血等の検査を2度ほど受けたが、恐れていた再発等の症状は確認されず、また、その他についても、とくに変わったことが発見されることもなかったため、多少の安心感と共に穏やかな生活を送ることが出来ていた。
会社の仲間は、「原島さん何だったんですかね? 誤診? それともがんもどき?」なんて冗談まで言われるようになっていた。
しかし、そんな仲間たちも、私が入院したり、闘病生活を送っていたときは、みんな本当に心配してくれていた。1年後に職場復帰をしたときも、とても温かく迎え入れてくれた。本当にありがたいものだと感謝している。
私自身も実際に体調が悪かったときは、なかなか楽しい気持ちで彼らと会話を交わすことが出来なかったが、今では、仲間とバカ話や冗談を言い合える程、心にゆとりが出来ていた。
胃がんの末期という病を克服した今、私たち家族は、何事も無かったような日々を過ごしている。あの当時のことは、今では家族の中で口にすることはあまりなくなった。何故なら、「思い出したくない」というのが本音だからだ。
しかし、26クール・728日間にも及ぶ抗がん薬治療を止めた後でも、黒くなった爪を見ると、長い年月、行っていた抗がん薬の副作用はなかなか消えないもので、簡単には、私たちの記憶から払拭させてはくれないものだった。(続く)